■ 若狭・堀越峠〜オバタケダン
・・・・2019年11月09日
2019.11.10

堀越トンネルを抜け、福井県側に出ても登山口が無い。いや、登山口と云うより、若丹国境尾根を越える旧街道を辿るべく、その入口を探したい。トンネルを戻って、何処かにそのような看板は、と車を走らせても、駐車地はおろか案内などは見つからない。後続のトラックなどは猛スピードで迫ってくる状況であるから、丹念に見回す事も出来ないのだ。林道の入口辺りに車を止め、地図を眺めて目の前の尾根に目標を定めた。しかし林道は確り閉鎖されている。

何者も侵入禁止、となっているゲートの横に、残っているのはバイクの痕跡、バイクが行けて、人が行けない筈が無い。2つのゲートを潜ると谷川側の工事現場に出た、川に橋が無い。水は少ないと云いながら、気温4度の渡渉は勇気がいる。山腹の真ん中辺りに登った太陽、谷底のここまでは未だ届かない。川を越え、曰く有り気な広場に出て、ここから尾根に、と見た厳しい斜面、鹿の真新しい糞と朝露に濡れるイ草の波は、いとも簡単に意欲を挫く。

朝霧の薄暗い林道を歩くと古色を帯びたガードレールがある。ひょっとするとこの道は、旧国道ではないか?、と地図を見ると確かにそのような道らしい。しかも県境尾根まで続いている、無理に尾根を攻める必要は無いのだ。旧国道と云いながら、石ゴロゴロの道は歩き辛く、放棄されたのはいつの事やら。真下に車の轟音が響く辺りはトンネルの真上であった。辺りに漂う排気ガスの匂い。

暗い道脇に案内板が見えた。左手には柵野坂、右手には堀越トンネル、降りの道を確保して、階段のある峠道へ踏み出すと、緩斜面の中に続く人臭い道。雑木に覆われた曲折の道を辿ると排気ガスの匂いも消え、陽射しが出てくると汗が出る。644のピークを過ぎると道が分かれる。左手の綺麗な尾根からは電線も伸び、古道の雰囲気から現役の道に変わった。電線の延びる、右手の山頂に立つパラボラアンテナ。

県境尾根から見える名田庄の集落、遠く、海の辺りは小浜の街並み、見える街並みは変わりこそすれ、山々の姿に変わりは無い。眺望が良くなると同時に風が寒い、落ち葉に埋まる林床はカサカサに乾いて、北側は初冬、南側は未だ秋の最中、同じ陽射しでこれほども違う。旧街道は当然ながら山腹を巻く。街道を離れ、パラボラのあるピークに寄って、勝る展望を期待したがそれほども良くない。

東に降ると旧街道と合流した、目指すオバタケダンの頭が見えた。尾根の周囲は須らく二次林、巨木などは至って少ない。北側の少し下の方に点在するブナ・トチの巨木は存在感がある。旧街道を塞ぐ倒木などは綺麗に処理され、チェーンソーの痕も新しい。それにしても、街道の続く県境尾根は落ち葉ばかりで、紅葉もなければキノコなども殆ど無い。散見するキノコはツキヨダケばかり、クリタケらしきものは多少あったが間違えると怖い。

オバタケダンピークで昼食休息、南側の陽射しの中は暑かった。食後、更に南に続くタケガタンまで足を延ばす予定ではあった、が、少々ヤブっぽくなった尾根に加えて人工林が覗いている。こう乾き切った尾根では詰まらない。寧ろ、霞む知井坂峠なら行ってもみたいが既にその時間でも無い。ピストンで帰る途中の6地蔵、パラボラの立つピークの北側に岐路があって、同じく名田庄側に降っていた。

旧国道から降った堀越トンネルへの道、降りたところはトンネル入口にある少スペース、これでは流石にわからない。車を止めた旧国道の入口に、「西の鯖街道」の看板が立てられていた。


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