■ 中国山地・氷ノ山
・・・・2019年08月31日
2019.9.1

今週の福定親水公園に吹く風には冷ややかなものが交じり、アキアカネなどの飛ぶ様子には、秋めいた気配も感じられる。陽射しの中は相変わらずの猛暑、がその陽射しにも赤みが多く、盛りを過ぎた陽射しではある。季節が順当に推移することこそは願わしい事ではあるが、恐らくそうもいくまい。

南下した前線のお陰で北部ばかりは気持ちの良い晴れ、にも拘らず車が少ない。先週に比べれば半分にも満たない様子で、ミズヒキなど、咲きだした秋の草花と合わせると、些か寂しく映る。鉢伏山から氷ノ山を経て東尾根に降るコースを「ぶんまわしコース」と云うらしい。やや乱暴な名称ではあるが面白そうなコースである。今日はその下見、未踏の氷ノ山越えから高丸山迄を歩きたい。もっとも、スキー場まで歩くと後の備えがない。スキー場に出たところで福定へ降る予定だ。

先週に比べて水の多い布滝を過ぎ、28曲がりの道を登ると不動滝の水音。増水のお陰で、樹林に隠れた不動滝の片鱗が、白い水の布のように少しだけ見えている。早くも全身汗塗れのトレランスタイルの男性が、追い付き追い越して行った。今日の28曲がりコースでの出会いはお一人だけ。改めて見た地蔵堂は良いところにある。尾根に囲まれた静かな平坦地で、ここなら大雨でも大風でもどうにかやり過ごす事も可能だろう。惜しむらくは、その平坦な地形を利用したカナダ杉の植林。これが無ければ不満は無いところ、残念。谷に架かる梯子を登ると木地師の家跡、辛うじて家の礎石などが残っていた。

氷ノ山越えに着いても人の影は無し、ザックを置いて暫くベンチで吹かれる間に寒くなった。人の声のする鳥取側を覗くとお若いカップルが登ってくる。女性の方はそれなりの、男性は自ら「場所に不似合い」な格好との事であった。長靴姿がニューモードと認められる20年以上も昔、長靴で氷ノ山山頂小屋に入った時の事を思えば未だ穏当な格好である。左に登れば氷ノ山、右に登れば未踏の赤倉山、岩場やロープ場のある健脚者コースらしい。次いでに他のコースの解説を見ると、全て健脚者コースであった、変わり無いと云う事だ。

氷ノ山ほどでは無いにしても、赤倉山へも階段のある登りコース、地を覆うチシマザサの中に大きなブナの林立する原生林が続いている。赤倉山の東側の山腹を巻いて降り道、何もそんなに降らなくても、と心配する程降る事もなくやれやれ、登り返しで岩場も出て来て、辿り着いたピークは「天狗岩」の名がある。道脇に、トモエシオガマの深紅の花、大山でも咲いているだろうか?。

北の尾根上に白い山小屋が見える、あそこで昼食にしよう。背後の氷ノ山への登山道に人影が見え無い。天狗岩から降って登って、山小屋は遠かった。歩けど歩けど、なかなか山小屋が見えて来ない。おじいさんハイカーと遭遇し、些か気を取り直して登りつめたところが「大平頭」、小屋は大平頭避難小屋と云うらしい。小屋の窓を開け放って、涼しい風の中でランチタイム、小屋での昼食は何時の事であったか。

小屋の窓に鍵を掛け、暫く歩いたところに「ホードー杉0・5キロ」の案内、さては巨大な大和杉か?、と思いながらも目の前の尾根を500mも降るとかなりの高度ロス、その上僅かな踏み跡は藪と等しく今日はパス。この後、厳しい降りを終えたところが広々としたスキー場、鉢伏山の山頂施設まで遮るものは何も無い。唯一の障害が戻る手段がない事で、後続の若者二人の目指すゴールは遠いのである。

今日はこれで全て終了のつもりであった、が、降るルートはススキが茂り、踏み跡を認める事が可能とは云え近頃のものは無く、ススキを掻き分け、湿地を歩き、暗い植林地の厳しい斜面を降って1時間、着いたところは集落最上流の水田跡、充分長い舗装路歩きは今日一番の難関であった。


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