■ 中国山地・那岐山
・・・・2019年06月22日
2019.6.23

北に聳える那岐山を目指して、少しばかりウロウロしたのは大型車出入口を守るお爺さん達の規制があったからで、山体が大きく何処からでも登れそうに見えながら、東と西の端の登山口に限られる。第3駐車場に来てみるとガラ空き、先行者は1台しかない。湿気の多い曇りがちなこんな日は、如何な那岐山人気も及ばないと見える。駐車場では未だ陽射しもある、がお山はガスが架かって彼処は雨かも?。

歩き始めると結構暑い。涼し気な顔のお爺さんが降って来られ、登山口の直ぐ上の林道脇に、ササユリ2本が有ると仰有る。目の前のものを合わせても3本、近頃はササユリでさえ珍しい。昨年のCコースのササユリは僅かに2本、まだ見ない2本で既に昨年を超えた。第1駐車場を見ると、先程の言を撤回せざるを得ない。小さいとは云えほぼ満車、雨にも負けない地元車両が殆どである。

登山口に消えて行く彼らには他と違うところがある。ハイキング・登山と云うよりトレランスタイルに近いのだ。屈強そうな女性などに、チンタラ登山などの雰囲気はまるで無い。とても速くて直ぐに下山されるに違い無い。後ろの男性に同種のオーラが感じられない、引っ張り出された口だろうか。

ササユリを鑑賞して登山口に入り、Bコースに入るととても暗い。谷川の水は多く、未だ見ない蛇淵の滝などは見応えがあるだろう。帰りに見てもいいかな。橋を渡り、谷川の左岸に続く登山道はほぼ杉の林の中を歩く、故に今日は殊に暗く、鳥目にはより暗く映るのだ。そんな暗い杉林の中、ガクウツギの小さな白い花があっちこっち、濡れた花弁は雨によく合う。

気温は低いが風の無い湿度100%の途は暑い。額を流れた汗が顎からポタポタ、川側を離れ、厳しい斜度を巻く辺りでは膝に滲み出す汗の染み。間伐で明るくなったところで小休止、目の前のネットで囲った中は草木が伸び放題、周辺の林床にはシダだけが目立つ。恐るべきは鹿の食害、彼らと話す術はないものか。

直ぐ上は林道出合という辺りで、オオルリの囀りが盛んであった。相対峙する2羽が、お互いに一歩も引かない状況とみた。鳥笛を出して、チャチャを入れてみるとどうなるか?。結果は、2羽の鳥が側の枝先まで偵察に来た。人の仕業が分かるんだろうか?。エゴノキの白い花を敷き詰めた途を歩いて林道に出た。日当りの良い林道斜面はモミジイチゴの季節である。林道を物色したあとはAコースを辿る事に決め林道をコース出合まで。

モミジイチゴは多いけれどもイチゴが無い。丈が小さくて花を着けるあたりで折れている。折れたところを観察すると、どうやらこれも、鹿に食べられた痕だろう。未だ柔らかい新芽のうちに食べられたと思われ、結局、手にしたイチゴは4粒ほど、寂しい。コース出合で東の山々を眺め、コースの降りである右の階段道を見上げて左の山腹に取り付いた。結構な斜面だ。

周辺はチシマザサ、ほぼ直線で延びる登山道は黒く、雨に濡れてよく滑る。花などの無い登山道の土の溝に、出て来たばかりのセミが居た。夜明けに出て脱皮するのは何度かみた、がこいつは未だ表皮は柔らかく脱皮の用意が出来てない。こんなのもいるんだな〜、木の根の側に置いて歩き出すと、何とかもっていた空が崩れ始め、ガスの流れるのを合図に落ちて来た。傘を出そう。サラサドウダンの花が出てきて尾根に乗った。

風が無いので傘でも難が無い。ガスに覆われた山頂尾根はガスの中、辿り着いた那岐山ピークに人影は無い。皆さんやっぱり早いんだ。雨の降るピークに長居は無用、Bコースで降ることに決め歩いた尾根を戻る。面白いこともなくぼんやり歩いて2度ばかり転げそうになった。濡れた木の根はよく滑る。林道まで降りたところで雨が上がった。

林道でエネルギーを補給、ウグイスに加えてカッコウ・ホトトギス・ジュウイチがよく鳴く。考えれば托卵の関係者だった。ピストンで戻る途中の杉の林で、オオルリは未だ争っていた。考えてみればこれも、彼らの存在理由、仕事である。葉の上で丸くなる生まれたばかりのアオダイショウ?の目に何が映っているんだろう?。


CGI-design