■ 京都西山・地蔵山
・・・・2019年06月16日
2019.6.16

水たまりの残る越畑の道をいつもの廃屋の前まで、気合を入れないと容易に挫けそうな暗い空、おまけに風もけっこう強くて寒い。見上げた山はガスの中、汗をかくのは容易な事では無い。容易な事では無い山歩きを、幾らか楽にするには考える事も必要だ。芦見峠は後に回して、先ずは楽チンな府道歩き、ジープ道を登って愛宕から地蔵山を周回しよう。強い風は、樹木に残る雫をふるい落としてくれるだろう、時間を稼げる。

府道を歩き始めて驚いた、けっこう斜度のある道であった。これだから帰り道は早かったのか、納得。納得はしたが、カッパで雨風を遮った体は火照る。石垣一面がぼんやり白い、綺麗に花を開いたユキノシタの群落、これがダイモンジソウやジンジソウであったなら、皆様にちやほやもされたものを。僅かに花びらが少ないだけで、えらい違いだ。

愛宕神社への徒歩用参詣道の前まで来た。見ればすぐ先の民家の軒先辺りで軽トラが道を塞いでいる。しめた、やはりジープ道で行こう。直ぐ上でジープ道に合流するこの道は、石ころだらけで好きでは無いのだ。ジープ道の傾斜は半端では無い。しかし降る事を考えれば、膝を痛める事もなければ滑って痛い思いをする事も無い。登りなら、この程度の斜度は普通にあるし、地蔵山北尾根の急坂はこれ以上だ。

昨年の台風禍で、陽光を遮る杉が倒れて明るくなった辺りを越えると落葉樹に囲まれる。周辺を白く染めるほどに花を散らすのはエゴノキだ。見上げた枝先を埋めるほどの花を着けたエゴノキがあちらこちら、エゴノキは枝にも花にもサポニンと云う毒があるらしい。従って、鹿が見向きもしない植物のひとつ、そんな植物だけの森では沖積土の原料が少ない。よって、アセビやエゴノキの森は何れ縮小する運命だと思っている。

愛宕神社の森が見える辺りは風が強い。遮る木々もなく、陽射しが戻ると遥かに遠望がある。今日はまた、雨の直後で空気が澄んで、こんな日は大阪湾まで見えるとか、実際に見た事が無いのが残念だ。愛宕神社の森に踏み跡は無かった。旧愛宕スキー場の前から地蔵山への尾根に入った。話し声で振り向くと、半袖・短パン・スニーカー、所謂トレランスタイルの方々5人、中にはお若い女性もある。

途中で追い越して行かれはしたが、有難いのが半分、も少しどうにかならんもんかの不満が半分。有難いのはアセビの林の露払い、不満は余りに無防備なその格好で、減ったとは云え毒蛇や最近話題のダニもいる。山ビルなどの生息域なら血だらけだ。地蔵山ピーク手前の林床で、ガラの仲間の群れに遭遇した。この様な混群は、冬によく見るものだが、梅雨時に見るのは始めてだ。直ぐ側で、コマドリらしい囀りがあった。コマドリはガラの仲間と群れるのかな?。

西向地蔵様への道はほぼアセビに埋まってしまった。今日のお地蔵様は白い小さな花びらや雄しべに埋もれていた。タンナサワフタギの花である。タンナサワフタギもまた元気な植物のひとつ、これも有毒に違い無い。お地蔵様の足元から伸びたアセビはおみ足をうまい具合に隠している。風が無いのでここで昼食、気温は12℃ほど、お地蔵様はにこやかであった。

地蔵山北尾根の斜度は降りでもやはり厳しい。以外に確りしたスニーカーの滑った跡がところどころ。芦見峠に降りてきてやれやれ、辺りに木霊するのはツツドリの囀り、2匹のツツドリがちょっとずらして囀るので妙な具合で少しも美しくはない。美しくはなくても、止せば去る事になるんだろう。止めるに止められない鳥の世界も大変なんだ。


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