■ 野坂山地・百里ケ岳
・・・・2019年05月24日
2019.5.26

朽木・小入谷からのルートは2回目だ。といっても随分と昔の事で、おまけに雨模様の強風の中、濃いガスに包まれ展望などは何も無かった。記憶と云えば、強風に靡く岩場のブナ。おにゅう峠と木地山からの直登ルートは何度か歩いてはいる。従って、小入谷からの百里新道はほぼ始めて歩く。

始めて歩くのは良いが今日は暑い。車窓から見える新緑の山々は爽やかでも、一歩外に出ると陽射しが応える。この暑さで蠢動を始める山ビルが怖い。近頃は久多辺りを勢力下にした彼らの動向は気になる。小入谷集落への植林の途をチェック、靴に這い上がるものは無い。あとは高度を上げるのだから問題は無い。おにゅう峠では、ブナの根本ででんぐり返る小熊を見た。母熊はブナの天辺辺りで食事中、慌てて去って行ったのは此方が高所にいたからだ。

熊には用心が必要だが、駐車地は無人で近頃の踏み跡は薄い。暫く緩い登りがあって尾根に乗った。辺りでは盛んにツツドリが鳴く。長閑な途だと思っていると次々と登り斜面が現れる。それも斜度はそこそこキツく、高度を失う様な降り勾配もある、登り甲斐のありそうなコースであった。ブナ林の若葉の下で休息中、単独男性が先を行かれた、これで熊の憂いが無い。

尾根ルートではあるが北側はほぼブナが占め、南側はところどころ植林地も混じる木陰の多い尾根。本来なら草花や灌木の茂る環境だ。長々と歩いて目に出来るそうしたものはタンナサワフタギとハナヒリノキ、他に目ぼしいものが無い。鹿の糞は全く無い、既に食べるものがほぼ尽きた状態だ。これではいかんな〜

ぼんやり覚えていた岩場の細い道が出て来た。ここには木地山集落との間に「シチクレ峠」があった事を覚えている。今ではその痕跡を探すのは難しい。崖下の植林地を隔てた先に、樹林に埋もれた木地山集落が見えた。おじいさんお婆さんが3世帯ほどあったのは10年以上も昔、今では無人になっただろうか。おにゅう峠コース出合の前に、厳しい斜面が控えていた、これは応えた。斜面を登ると平坦な途が続く。おにゅう峠コース出合に案内標識も出て来て、根来坂峠とある。

根来坂峠はおにゅう峠手前にある古い峠道で、大きなブナが枝を広げる掃除の行き届いた広場に、祠に入ったお地蔵様があった。「さばの道」として有名である。百里ヶ岳を越え、北に降ったところに「木地山峠」がある。ここのお地蔵様の祠は酷く傷んでいて、飛散した祠を集めて重しを置いたのも十数年前、集落の住民が居なくては保全は望めない。

木地山側はほぼ崖状で、反対側は背の高い綺麗なブナ林が続いている。昔より濃くなった登山道にロープ場なども設置され、幾らか周辺も変わり、始めて歩くコースと違わない。ピーク手前の急斜面などは想定外、到着したピークの広場も往時より随分広くなった。広場の端の木陰で話し込む先着の男性とご夫婦、風の少ない広場は相当に暑い。立派な山標を見て、木陰に移動、しかし羽虫の多さには辟易した。俄に増えた羽虫は野鳥にどんな影響があるかしらん?、ブナの森にアカショウビンの鳴き声が木霊していた。

ご夫婦が去り食事を終えた男性も去り、降ろうとしたところへ木地山峠方面から単独男性が到着、ところへ新たな単独男性が現れ、まあまあ賑やかな山頂だ。帰り道としては、かなり激しかった百里新道は望ましく無い。可能ならおにゅう峠に出て、林道と旧峠道を歩いて周回したい。がコース状況が不明では、林道降りに終わる事もあり得るし、今日の暑さでそうした結果は是非とも避けたい。

1時間半をみていた帰路は、休みなく歩いたにも拘わらず、2時間以上も要した。樹林の中で24度(これも異常)であった気温は、陽射しの路上では30度を超えていた。未だ5月、南から来たツツドリなどは暑さに強いのかな?


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