■ 丹波・向山連山
・・・・2019年04月06日
2019.4.7

この時期の向山は始めて登る。ほぼ満開だろう水分れ公園の桜の片隅に車を止め、温かい日差しの向うを見ると、3人のパーティーが歩き始めるところである。他にハイカーらしい人も無く、ただガードマンらしき制服の男性が目に付く。公園に向かって歩くと桜祭の大きな看板と、開店の用意に忙しい出店の数々、この時点では未だ出足はよくない。

先行する3人組の後を追って、防獣扉を開けると直ぐ、左側の急斜面に2の山への道がある。これを辿るとこれまでと同じ景色が待つ事になり、甚だ面白く無い。道の奥には独鈷の滝と云う、何処かで聞いたような滝があるらしい。見られるものなら見てもみたいとは思うのだが、右手にある今日の登山口よりずっと奥にあるらしい。

独鈷の滝は諦めて、酷く荒れた、杉の林に伸びる谷底の登山道を詰めて行く。5月頃だったか、降りてきた林道辺りで、少ないながら山ビルに遭遇したところ、足元には細心の注意を払う必要がある。何も生えない急斜面の山腹を登るようになって、山ビル危険地帯は抜けただろう。からからに乾いたアベマキの葉が積もり、よく滑るだけでなく、踏むと白っぽい土煙が立つ。今頃に降り積もるものと云えば花粉・黄砂・PMの類しか思い付かない。

嘗ての展望所に辿り着いて汗を拭いた、今日は暑い。このコースを辿ると、600に充たない主尾根までひと息で到達する。そのぶん斜度も厳しく、歩く尾根は細い。裸の樹林越しに、咲き始めたヤマザクラがチラホラ、ヤマザクラはちょっと遅れて咲くものだ、と思っていたが今年は例外。ところがコブシの白い花は見ないから、余程おかしな春に違い無い。

もっとも厳しい斜度を登坂中、上から降りてきたおば様と遭遇した。平地がないので互いの位置は身長ほども違う。そんな立ち位置で暫く四方山ばなし。今年のヒカゲツツジは少ないとか、細身で、感じの良いおば様であった。転げる様な危うい尾根を降って行くおば様を見送り、もう直ぐピーク?、と思うとここからが結構長く厳しかった。

乳酸の溜まった体を引き摺る様に尾根に到達、あとはゆっくりやっても知れている。手掘りの鉱山跡を過ぎ譲葉山への途を分けるとカエル小峰の石の前、おば様の他、少なくとも先行した3人はいるだろうくらいの静かな山だと考えていた。次に出てきた岩峰の辺りから聞こえてくる賑やかな声。地上の祭のBGMも聞こえてきて、桜がテーマではどうも合わない。岩の上で暫く待つと、妙齢の女性ばかりが5〜6人、そのあとに男性が一人、ずっと遅れて「俺をおいていきよった!」ともう一人男性が去って行く。

直ぐ先のピークではペアのハイカーが食事中、けっこう人の多い日でわないか。次は一旦降り、登り返して北峰だ。あそこは静かで昼食には最適、と、辿り着いた北峰は6〜7名のハイカーに占拠され、ここからは団体さん・ソロで埋め尽くされた尾根道が続く。咲いたヒカゲツツジより人は多い。人の切れ目で昼食にした、薄く淡い黄色いシキミの花に交じるショウジョウバカマの花が一輪。

向山ピークは人の山、4の峰に降る途中で女性3人組と遭遇、登り返した4の峰は無人であった。これを最後に人波は切れ、小鳥の鳴き声の響く3の峰で小休止。2の峰を降る途中、古墳らしい遺構を発見した。これも逆周りの効果と言えるかと思う。駐車地に戻って驚いた。地上の空地に溢れる車、空地を求めて車の列はなおも続いていた。


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