■ 丹波・粟鹿山
・・・・2019年03月23日
2019.3.24

山東町の山は始めて登る。烏帽子山のある青垣とは遠阪トンネルを隔てるだけ、殆ど隣りの山だ。遠阪トンネルはずっと昔から有料で、古色を帯び始めた今もなお有料のまま、償還の前に作り直す時期であってもおかしく無い。山東インターを下りて直ぐ、左折した山裾に西宮市立山東自然の家がある。

宿泊施設のある立派なもので、ここの駐車場を使わせて頂いた。目の前にフキノトウが花を咲かせる長閑なところだ、が高速の車の騒音はやむをえない、無料道路は有り難い。前の道を上に歩き出すと直ぐ、獣避けのゲートがあった。鬱蒼とした杉の木の下のバンガローを過ぎた谷川の側に、「使用禁止」の貼り紙のある、大きめのバンガローがあった。管理者のある設備に使用禁止とは、ちょっと考えるとあり得無いことだ、無断で使用する人があると言う事だろうか?。

登山口の標識はその前にある。植林の無いルートなどは期待してもまず無い。赤テープが至るところに付けられた迷いようの無いルートで、浸食で深く掘れた古い道の側に新しい踏み跡は続いている。暗い林床の周囲を見ると、酷い急勾配の山腹ばかり、夏場なら大汗が期待出来るルートである。今日は戻り寒波で氷点下、急斜面を登り切った岩場からは明るくなり、目指す粟鹿山の山頂が曇天の空に聳えている。

急な山腹をトラバースして、砂防ダムのある小さな谷川を渡る。濡れた岩を覆う苔が美しい。因みに、粟鹿山の由来は神代に遡り、角に3本の粟を載せた鹿が通り掛かり、当地に恵みをもたらした事によるらしい。現在の鹿は、地表にある植物を食い荒らす害獣である。ここまでの林床に草本類は殆ど無い、よって鹿の痕跡も全く無い。谷川を渡渉、急勾配の階段を登って少し歩くと立派な林道に出た。

林道を歩くかと思っていると、向かいの道脇に登山道の標識、切羽を登って再び植林地、左側には広く明るい落葉樹の森がある。平坦な、樹木に囲まれた水を湛えた湿地は、山頂台地の池と違って、水を飲む鹿の姿の合いそうな、平和な静謐感に溢れていた。温かくなれば、森の葉色の良く映える光景が現れるだろう。

更に登るといきなり舗装路に出合う。左手には展望台などがあり、屋根に登っても何の展望も無い、既に役目を終えた施設である。展望台の1階に残る、火を着けるだけの焚火の用意は何だろう?、いざという場合の用意かな?。ここからは舗装路を歩いても良いようなものではあるが、よく見れば、右手の急斜面に薄い踏み跡が続いている。ここを歩けばまだ2つ程の瘤を登る筈、ならばこの道でルートの完全制覇を目指そうか。

枯れ葉に埋まる急な林床に白いものが落ちてきた。落葉にも粉雪が付き、お湿りのある土から氷の柱が顔を出す、気温は氷点下3度、風が強いと酷く寒い。山頂が近くなるとススキの原に出て、雪の残るススキの上は良く滑る。NTTの設備の立つ山頂からの眺望は文句なし、が今日のところは黄砂の上に重い雲、遠望は全く無い。

雪は強くなる気配だし風も強い山頂では風邪をひく。降る前に辺りの山容を確認した、南の尾根は自然林が多い。降ってきた温かい道の横に、最近は珍しくなったミヤマカタバミが数株、残念ながら花は閉じたまま、ショウジョウバカマはピンクがやや濃いような。


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