■ 丹波・五台山
・・・・2019年03月02日
2019.3.3

岩瀧寺の無料駐車場に車を止め、滝に向かって少し歩くと木に花がある。梅の花なら珍しくも無いが、サクラだとしたら如何にも早い。朱みが強い訳でも無くどう見てもサクラ、花は小さく申し訳程度に花を着けたところが3月の始め、今年のサクラの開花は早かろう。数年前の大水から続く、辺りの補修工事は今も続いている。昨年の大雨の影響も有るのかも知れない。しかし、濁り水の滝は興醒めである。

不動尊の上から滝口を巻き、2の滝の先から谷に掛かる櫓に乗って太工事現場に降りた。登山道を塞ぐ砂防ダムが出来ている。水は未だ無いので底を歩いて上流に続く谷を詰める。水が貯まると登山道は水没する、新たな途は何処になるだろう。谷に続く途もこころなしか、踏み跡も少なく荒廃した感がある。こころ細い丸太橋を幾つか越えると林道に出た。

林道からは明瞭な途が急勾配の人工林に続いている。冷たい風の吹く林の途は案外に長い。尾根に出たところに小峠の木札、この途も古くから利用された大事なルートであった訳だ。暫く尾根を登り、山腹に旨く作られた途を辿ると山頂尾根に出る。ここもやはり冷たい風の抜けるところで寒い。少し登ると文殊菩薩の立つ山頂で、明るく温かい日差しのある気持の良いところだ。山頂の直ぐ南側に迫り出して作られた展望台は、氷上の街並みを一望にしながらポカポカと温かい。正面に愛宕山から五大山の急傾斜の尾根が広がり、背後に烏帽子山が見えている。

暫くはぼんやりと温まって、さて帰路はどうしよう?、ピストンでは、600程度の山に来た甲斐が無い。尾根沿いに周回したいところだが途が無い。北に進むと、氷上と市島の間に鴨内峠なる峠道があって、そこまでは明瞭な登山ルートがある。以前から辿ってみたいと考えていた。北に降ると案内板があって、そんな意欲を削ぐ様に、途が無いので引返せと警告があった。

峠までは広い山道が続き、市島からのルートこそ表登山道であるかのように思わせる。しかし落葉に隠れた道に最近の踏み跡らしいものは殆ど見つから無い。吹く北風は冷たくて、何より影になるのでもの寂びた景色ばかり、夏場には良いかも知れない。鴨内峠には、市島側登山者向けの案内はある、親不知への案内さえある親切なものだ。が国土地理院の地図にも明記されたルートである峠道の情報は全く無い、なぜ?、そんなに酷い?。

降り始めた旧峠道、確りした道型も残る明瞭なもので、しかし枯れ枝に埋まる道に踏み跡は残らない。傾斜の緩む辺りまでは毀損場所も少なくまずは快適な道であった。いやに明るい谷が近付くと道が無い。表土の流出した谷は酷く荒れ、ずっと先の右岸に舗装路らしきものが見えた。舗装路に到達してやれやれ、エネルギーを補給し先を見ると巨大な砂防ダムがあった。

砂防ダムの右側の土手は舗装路もろとも崩れて何も無い、左の土手に登って下を見ると、今日も作業中のダム工事現場であった。なるほどこれでは道案内は出来よう筈が無い。巨大ダムを降り、登山者の出現にも全く動揺を見せない、車の中で休息中の方々の前を抜け、工事車両で荒れた道を歩くと長閑さに包まれた集落に着いた。ここから駐車地までは凡そ1時間、氷上の街並みを拝見しながら歩こうか。


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