■ 播磨・フトウガ峰
・・・・2019年02月02日
2019.2.3

生野高原ゴルフ場への道は黒光りがして、路肩に溶け残る雪が出て来ると凍り付いた路面を踏む音が聞こえてくる。夏タイヤであれば当然この辺りで車を捨てるところだ。路面の状況はカーブを曲がり、高度を増すごとに酷くなる一方、辺りの気温は氷点下2度で前方のカーブを塞ぐ様に止まった車が2台、共に夏タイヤである。この状況でここまで来ること自体に驚いた。歩くことさえままならない路面である。

近くの路肩に車を止め、用意の間に冬タイヤの車が登って行く。もう少し登れたかな?、とまあ登山口まで歩いてもそれ程も無いところである。路肩の雪を踏んで登山口に着いた、駐車地には1台だけ、既に出発した後だ。皆さんが車を止める路肩までチェーンで来られた男性が到着して、待ち合わせの方が未だなので待つと仰有る。お先に行かせて貰い、林に入ると直ぐ雪道になった。積雪についてはそれ程も期待はしていない、がフトウガ峯辺りでは相当の積雪が期待できると聞いている。従って、雪山歩きに備えてワカンは用意している。

雪があろうと雨が降ろうと厳しい斜面に変わり無く、雪を戴いた枝振りの良い松の先に、先行者の背中が見えてきた。尾根に上がると南側に雪庇が出来て、その辺りは腰までも埋まる雪がある。ここまでは先行者のトレースを辿るだけで、取り立てて苦労の無い歩きであった。達磨ヶ峰で先行する3人を追い越し、暫く歩いたところでトレースが無い。壺足で歩くと膝上くらいまで埋まるところが多く、夏道を外すとやはり腰まで埋まって身動きが出来ない。

ワカンを着けると何処でも歩けるしラッセルは望んでいた事でもある、が数年ぶりに着けたワカンの身体への負担は思いのほか大きい。第一に、通常は持ち上げる様な動作はしないので、そのあたりの筋肉は大いに苦痛だ、筋肉痛は避けられそうに無い。平坦な尾根に載っても積雪は多い、やや心細いところの見えた後続3人の姿は遂に見ない。最低鞍部の手前で強力な戦闘員が現れた。スノーシューとは云え、彼の歩みは素晴らしく、あっと云うまに視界から消えて行った。

有り難くはあったものの、スノーシューの踏み跡に続くワカンはけっこう沈む。彼の転倒した跡を確認した直後、同じ様に転んで膝を打った。雪の下の岩に躓いた、以後、打った右膝を庇いながらの雪山歩き。ワカンの後続がまた追い付いて来られ、見ればカーブで最初に立往生された方だ。先行するスノーシューの方の話が出て、電車で来られ歩いてここまで来られたよし、と感心頻り。達磨ヶ峰からはトレース無しですか?、と聞かれ、幾らか面目を施したのは事実。

着かず離れず彼の背中を視認しつつ、最低鞍部からフトウガ峯に乗った。彼が踏んだ雪道は楽に歩ける。一面雪に覆われたフトウガ峯からの雪景色は素晴らしい。ピークに三脚を据えた彼はそこから動かない。既に段ヶ峰は念頭に無い様であった。段ヶ峰を一望する杉谷ルート出合いまで行って、段ヶ峰を見ながら立ったままでエネルギー補給、腰を下ろすと寒い。段ヶ峰まで往復すると往復2時間以上、ランプの光が必要になる。

相変わらず、フトウガ峯ピークでカメラを覗く彼と暫時話を交して下山、安全なピストンを選んだ。僅かな休息でも冷えた気温は、標高が下がった事によるのか、午後からは汗ばむほどに回復し、トレースの残る雪道を、7名程のパーティーが登って行く。その中に、待ち合わせで登山口に待機された方の顔も混じっていた。一時は期待したお若い3人のパーティーは、登山口間近で再び会った。


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