■ 京都西山・竜ヶ岳〜地蔵山
・・・・2019年01月06日
2019.1.6

越畑に着く頃には小雨から粉雪、しかし積雪も無く暖色のまるで無い雪の舞う景色はただ寒々しいだけ、車を降りるにも勇気がいる。他所へ行きたがる気持ちを圧し殺してやっとのこと外に出た。ところへ、側の空家の前に関係者だと思われる軽トラが止まった。納屋の中で何やら物色中、あまりグズグズしていると妙な者だと思われてもいけない。素早く用意を整えて歩き出した集落の裏道、戸外で作業中のおばさん・おじさんがあちこちにいて、未だ正月の様な雰囲気が漂っている。

登山口横の家の玄関に黒ネコがいて、不審者を見張る様な格好でこちらを伺う。ここには確か、白いネコもいたはずなのだ。雪の降る日はコタツで丸くなってなさい!。藪の中には師走に降った雪も残っていた。踏み跡のまるで無い芦見峠への道は、倒木などでいよいよ荒廃の度を増し、お陰で太い枝の角でしたたか頭を打った。倒れた木が悪い!。芦見峠に着き、見上げた地蔵山への急斜面、僅かに雪が残ってその先が暗い。

そうで無くとも暗い空の下、何も夕方の様な登山道を歩かなくても、と考えた結果、そうだ、芦見林道を歩いて竜ヶ岳に登ろう、竜ヶ岳は久方ぶりであった。芦見谷に降りて長い林道をトボトボ、芦見川は川底の土砂が流れて愈々深くなるばかり、剥き出しの岩盤ばかりが目立っている。トラウトはどうしているだろうか?。

林道流出や側の斜面崩落くらいは予想の範囲、ところが驚くべき事に、林道どころか谷の様相が一変するほどの大崩壊、所謂深層崩壊と呼べる規模の崩壊があり、一見しただけでは以前の谷の様相が分からない。大岩や巨樹の根で塞がれた谷心は足を置く場所にも窮するほどだ。右の地蔵山の山腹は、200mほど上部から幅200m程に渡って崩れている。半年以上も経ってこの状態では、直後の様子はさぞ物凄い事であったろう。

大崩壊地を越えても崩壊は続き、これは止したほうが良さそうだ、と思っても引き返すのも大変だ。大小の崩壊で毀損した登山道は既に道ではない。予定通り竜ヶ岳登山口までは来たものの、当分歩かないほうが無難である。竜の小屋方面から続く足跡は、そのまま芦見谷を詰め愛宕山方面に向っていた。

竜ヶ岳の登りは急斜面の岩場から始まる。ここまで来ると古い雪も残り、上を新雪が薄く覆う。これが結構滑って、たかだか350m程の登りが応えるのだ。岩場の多いコースではあったが、そうした場所が更に増えた様に思われる。少ない土が流出した結果だろうか?、少しも手加減の無い斜面になった。辿り着いた竜ヶ岳ピークは無人、今日の踏み跡は無い。さて、降りはどうしよう?。

右手には地蔵山が聳えているし、尾根歩きは長く着いたところも愛宕山で、何時もの様に帰りはジープ道、ではつまら無い。とすれば滝谷辺りに下降して、登り返して地蔵山、が良さそうだ。2重稜線に登り滝谷下降ルートは?、と探すまでも無く雪で不明、マイナーコースだからテープなどのマークも無い。藪に身体一つの抜け穴があればどうにかなる。木にしがみついて何とか滝谷に下降、登り返す山腹はと見るとこれが、気力の萎える程の急な斜面、ほとほと嫌気がさして来る。

ここで諦めると遭難だ、何としても150mほどは登るぞ!、とまた雪まみれの馬酔木の藪を黙々、尾根の明かりが見えた時はやれやれ、馬酔木よ、お前が悪い!。登り着いたところは反射板の右手、ルートは左側にあった。そしてお日様の温かい光と多数の踏み跡、人は見ないが賑やかな様子はホッとする。
更に地蔵山まで登り詰め、お地蔵様に新年の挨拶を済ませると良い時刻、これ以上遅いと暗くなるところであった。


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