■ 台高・高見山
・・・・2018年12月09日
2018.12.9

このところ西の方ばかりで、植林でほぼ埋め尽くされた山並みを見るのは夏の大峰以来、12月に入り寒波とくれば高見山の登山客は多かろう。そのうえ下山のあとは温泉が待っているのだ、ちょっとした旅行気分にも浸れる。たかすみ温泉の駐車場におよそ30台、用意の出来た隣の方々が出発された。トイレを済ませたお若い方々はストレッチの最中。

氷付きそうな流れを見て、暗い登山口から階段が始まる。見るべきものの無い階段道は下を見るしか無い。僅かでも楽なあたりを選んで脚を運ぶ。前方に見えて来るだろう先行者の姿が無い。杉の林の中は静まりかえり、時折、近く里に降りるだろう鳥の声が聞こえるだけ、前にも後ろにも人の姿は無い。

山小屋の前で水の補給、振り向くとソロの男性が見えてきた。この先は割れ石の多い狭い尾根道、斜度の多い苦しい区間だ。ここですんなり先を譲っては甚だ情けない。背後に迫る男性の気配を意識しつつ、小峠出合が見えてきた。ここまで来れば抜かれても良いのだ。それにしても、早いほうでは無いにせよ、かなり真面目に歩いて前の方は見えず後続には迫られ、今日の高見山は余程山慣れた方ばかり?、霧氷の魅力の成せるところだと思えば頷け無くもない。

小峠出合で既に0度、強い風は登るに伴い更に強まり、樹木に当っては空気中の水分を氷らせる。樹氷は見たいが寒いのは嫌、嬉しさと悲しさあい半ばといったところ。更に傾斜の厳しさの増す斜面、強烈な風の中る顔面が痛い。冷たい風による美肌効果も期待できるそうだが、これほど痛くては凍傷が心配だ。美肌どころか身体ごと飛びそうな風が吹く。

チラと見た北側はガスで遠望は良くなかった、南側に延びる台高山脈の稜線あたりはガスに覆われている。明神平も寒かろう。男性にリードされて登ってきた女性2人、綺麗だ素晴らしいとカメラを持つ男性の側で寒い寒いを連呼していた。その通り、桜の様に綺麗ではあっても春の温かさは無い、写真に夢中の方々は置いて、早く小屋に入るのがこの際もっとも妥当な行動と言えよう。

風を遮る小屋の中から、顔だけ出して見てもやはり寒い。気温はー7度で風は20m、そばの女性は降ろう降ろうと促していた。お茶を点てる奇特な方もおられはしたが、器具を出す程の元気も無い、既に手は氷のように冷たいのだ。先程の男性と女性2人のパーティーは、山頂には目もくれず大峠目指して降って行く、これはまた珍しい事ではある。が、何はともあれ降るのが一番、少し降っただけで、風が無いので温かい。

と、先の3人がUターン、どうやら方向を誤ったらしい。とすれば、北尾根あたりを目指すものと思われる、寒い中ご苦労な事だ。大峠まで、樹木はみな葉を落とした見通しの良い道が降っている。その道を、鈴を鳴らして単独ハイカーが1人2人、ピークでは震えることになるであろう。降りたった大峠に車は10台ほど、これより、嘗ては殿様も通った旧南伊勢街道を降り、平野への分岐を辿って駐車地に戻る予定だ。

大峠からは粉雪が舞い、陽射し等は殆ど無い。そんなルートを国道から登って来られる方々が3人4人、直ぐ先を降る真っ赤なウェアの女性がお一人、現代に至ってもなお南伊勢街道は賑やかであった。道に敷かれた表面の艷やかな石、草鞋なら効果も期待できたやもしれないが、現代の登山靴の硬いソールには不向きであった。

さて、平野への分岐はどこだろう?、もう国道は直ぐ下に見え、あったはずの道が見えず、これでは地道を4キロばかり歩く事になる。国道の直ぐ上辺りにあった大きな登山地図、何処にも平野コース等は載って無い。地道歩き4キロが確定した瞬間であった、何処と間違えたんだろう?。


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