■ 播磨・天狗岩・平石山界隈
・・・・2018年12月01日
2018.12.2

この辺りに適当な山があったら良いな、と見た地図の上に、平石山と云う山名が記してある。皆様の山行記を参考にさせて頂いた結果、良いとも悪いともよく分からない。近頃はやらない読図が必要な事だけは分かるし、コースによってはハードな山らしい。で、早速出掛けた生野町栃原、段ヶ峰登山口へのルートを過ぎ、ネットでチラと見た生野学園のグランド前に来て見れば、天狗岩・高星山への道標が残っている。辛うじて風雪に耐えた結果残った、といった風情の道標で、指し示す先にあるべき登山道は、あるきはじめで呆気無く笹原に消えている。

斜度さえ拘らなければ登りはどうにかなるものだ。目指す尾根の先に、天狗岩なる恐ろしげな岩場があるのは間違いない。植林の山腹に、怪しく残る踏み跡は獣道、人のものらしい足跡は全く無い。尾根に上がると背の低い笹と棘のあるサルトリイバラ、ダニも嫌だし痛いのもいや、歩きやすい樹木の隙間を縫って、兎に角尾根芯に沿って登ろう。急傾斜の谷側に下ると割れ石のゴーロで、とても歩くところでは無い。

斜度が緩むと紅葉した向いの山が見えて来た。上を覗くと酷いブッシュが見えて来た。左の谷側に振りながら瘤を1つ越え、登り詰めた先にも同じ様な急斜面とブッシュ、何度かくりかえすと見上げた木々の間に青空が覗く。緩い尾根に乗るだろうと登り詰めると、行く先を塞ぐ大岩であった。や〜これが天狗岩か、大岩の南側に乗り越えられる隙間があった。

岩場を越え、南側のテラスに登って先を見た。登れない程の大岩が立ちはだかって南側は登れ無い。登れば身動きの出来ない事もありそうだから、登らない。戻って北側を覗くと、何とか登れそうな隙間があった。大岩を越えるとまたまた大岩、南側はやはり登攀不能、北側の一角に登れそうな窓がある。これで駄目なら撤退だ。窓に登ると樹木越しに、段ヶ峰に続く平穏な尾根が見えた。上を見ると、細いながらも、樹木を頼みに、何とか超えられそうな隙間が見える。斜度のある岩の上の土は少なく、落葉はよく滑る。

ここもまたどうやら無事に抜け、北側一帯の植林が目に飛び込んだ時にはやれやれ、やっと超えたか。緩い尾根を歩きつつ、南側の岩場は懐かしい奮闘の思い出に変質した。陽の中るピークの上で小休止、目指す主尾根はあの先辺り。足取りも軽く歩き出したところで、え!、岩場は未だ終っていなかった。尾根芯を外れた南側の山腹から、目の前に屹立する岩を避けた尾根北側への乗越は厳しかった。萎えがちな意欲にムチを打ち、息を切らして登ったところに古い道標が置いてある。文字は既に無く辛うじて降る先を示してはいる。ここを降るとなると、相当の胆力が必要だ。

目の前の大岩こそが天狗岩、である事を知ったのは後のこと、緩くなった馬酔木の尾根を歩いて923の三角点、目指す平石山はもう直ぐだ。尾根を30分ほど歩くと方角が不明になるような丘陵地に着いた。辺りは茂る馬酔木のジャングルで見通しは利かず、踏み跡も無く進みたい方向にさえ歩け無い。ここで始めて地図を見た、平石山はずっと北で、更に1時間以上は必要だ。今いるジャングルは高星山の直ぐ東側、今どきの日没を考えると平石山は今日は無理。

そうと決めたら早く降りたい。北東に歩くと、駐車地に近い栃原川支流の林道に真っ直ぐに下降できる尾根があった。地図を見る限り、拾える難所は有りそうに無い。調子良く降るとやがて斜度が厳しい、左側はほぼ切れ落ちた細尾根だ。ところどころ、古いテープがあったのは気休めにはなった。降りで気を使うのはやはり滑る事、乾いた落葉は兎に角滑る。谷が近付いたところで最後の迷走、大岩の転がる谷川に下降して道を失い、再び尾根を目指して林道に降りた。時刻は15時、晩秋の色彩の横溢する山里に、立ち昇る焚火の匂いが懐かしい。


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