■ 中国山地・岡山県立森林公園
・・・・2018年08月04日
2018.8.5

上齋原集落の左手にあった森林公園の看板を見て、まことに狭い、心細い道を20分ほど、やや広い道に出合って胸を撫で下ろし、暫く走ったところでうり坊5匹に出会い、せっかく稼いだ高度を失い始めてやっと森林公園のゲート前に着いた。事前の調査では、もっと立派な駐車場の予定であったが、現実は往々こんなものか。トイレのある第1駐車場の木陰に車を止め、用意の間にも増える車。皆さまの様子を伺うに、殆どの方がご高齢、事前調査とこれも異なる。先の水害と猛暑のなせるところかも知れない。

ここは駐車場で既に850、稜線は1000〜1100なので、標高差は少ない。歩き始めると直ぐ、管理棟の先にカラマツの保護区画があって、殆ど夏草の無い林床に、小さな花がところどころ、見れば可愛らしいギボウシ。ギボウシと云えば、おお味なオオバギボウシばかりが思い出され、こんな色鮮やかな小ぶりなものは始めて目にした。それにしても、見渡せば、周囲の森で目立つのはカラマツ、わざわざ別途区画を設ける程でも無い様に思われる。

綺麗に整備された道を進むとオタカラコウ湿原、大きなオタカラコウの葉で埋め尽くされた一画だ。注ぎ込む谷の水は澄明で、大水による影響は丁寧な補修の跡が新しい。ここの補修はあくまで木々や草花、地形の維持が目的で、散策路を遮る樹木の幹や枝は、多くの場合、切らずに矯める方法をとっている。山が迫って来ると俄に植生が変わり、ブナが主体で、が全て細いものばかり。山腹を巻いたところで谷に降り、正面に黒ぐろとした滝が現れる。モミジ滝と云うらしい、がモミジは見ないし水も殆ど無い。秋でも無く猛暑の続く夏場はこんなものかも。

ここで道は別れ、公園内で最も標高のある『きたけ峰』へと続く登山道を進む。アップダウンのあるかなり厳しい途で、風があっても気温は高い。そんなところで先を歩くお二人、かなりのご高齢に見え、殊に、後ろを歩くダブルストックの男性の歩みには幾らか不安を感じるほど。圧迫しない様に後ろからぼちぼち、稜線を前にして休息された。

巨大なブナ、ミズナラが混じる様になると稜線直下、しかしピークまでは厳しかった。大汗になって着いた『きたけ峰』は、眺望も何も無い、樹林の中のピークであった。風もないので涼しくない。行動食で体を冷やし、少し休んで登ってきた斜面を降り、別れから『千軒平』を目指して尾根道を歩く。稜線左手は鳥取県、人工林の杉林で、けして平坦なところばかりではないので暑い。目指す千軒平はきっと小広い平原に違いない。

と、思いながら厳しい怠い尾根が続き、ときに光線の加減で美しく見えるブナ林に感心し、管理棟に戻る道に後ろ髪を引かれながら、酷く厳しい登りの後に続く灌木の出てきた暑い道、前方に人影を視認して着いたところが平原ならぬ千軒平ピークであった。どうしてこんな名前だろう?。千軒平ピークは燃えていた、踏み込むと同時に自然と汗が流れ、先着のお二人の顔からも汗がポロポロ、暑い!。が、鳥取県側に迫り出したピークからの眺望は素晴らしく、緩慢な尾根歩きから一転、体に力が戻って来た。巨大な光景は精神のエネルギーになる。残念ながら、大山あたりは靄って見えない。代わりに、ピークの草地や岩場に咲くマツムシソウ、実物は初めてお目にかかる。

猛暑のピークを降って尾根は平坦になり、両側にネマガリ竹が出てきて風が少ない。次に目指す『モミジ平』も平は文字の上の事で、実はずっと先に見えるピーク(人形山だと思う)に似た厳しいところ?、と思っていると呆気なくモミジ平に着いてしまった。文字通り平坦であった。ここから少し歩くと避難小屋のある三叉路があって、今日はここで終わらないと日が暮れる。後日、残した半分を周回しよう。

降り道も結構な勾配があって、しかし距離がなくて降ったところに管理棟への道が延び、1・2キロで戻れるところが公園らしい。戻る道に沿った綺麗な川の、きっといるだろうと覗きこんだその先に、悠然と姿を現した尺物のイワナ。人の気配で逃げ隠れしないところも流石に公園。管理棟の前まで戻ったところへ、この時間になって訪れたお年寄り4人、夕涼みを兼ねた付近の散策だとしたら贅沢な趣味である。


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