■ 中国山地・三室山
・・・・2018年07月21日
2018.7.22

三室山登山口には一度だけ来たことがあった。杉林に埋もれたとても陰気な印象だけが残り、車をターンさせた筈の広い駐車地は記憶の何処にも無い。県道の行き止まりで道は左右に別れ、左は大通峠へ、右は三室山登山口へと通じている。右上の駐車地はしたがって記憶に無く、左右に分かれる道の真ん中に車を止め、先の豪雨により閉鎖された峠道の管理車両の出入りを見てから右の道を登り、え!っと驚いた。

降り注ぐ陽射しの中の広い駐車場、僅かでも木陰を求め端に止めた車が7・8台、道を挟んだ芝生の広場、何を見ていたんだろう?。後で調べた事だが、芝生の広場は野外活動センターの管理棟跡らしい。駐車場を拔けるとコナラの森が続き、早々と登り終えたハイカーと出逢った。更に下方の芝生の広場を散策する、ハイカーらしい2人を含めると3人、人がいる事さえ想定外、それほど寂しいところだと思っていたのだ。

暫く続いた舗装路が終わって石ゴロゴロのダート道、これはあるき辛い、折からの猛暑の中ではとりわけだ。しかし気温は24℃で風はひんやり冷気を孕み、普通に歩く程度なら天国だろう。斜度のある林道はほぼ直線で登っている、三室山に続く道だから当然と云えば当然、よってかなり応える。三室山は、兵庫県下第二位の高峰である。石ゴロゴロの道が終ると登山口、左から合流する道があって、こちらが本来の登山道で、管理棟跡地の前から登るらしい。

少し歩いたところで途が別れる。左は『植林コース』、右は『谷コース』、植林コースなどと味も素っ気も無いコースを選ぶ人がいようとは、俄には信じ難い、他に適当な名称は無いものか。谷コースは名称に偽り無く、ほぼ谷中を登っている。川風が冷たくて、今日の様な日は谷コースがお勧め、と云いたいところだが、濡れた岩場には注意が必要、けして楽な途では無い。大雨の後の流れに泥などは無く、痺れる様な冷たさは離れ難い魅力ではあった。

谷を離れると直ぐ、三室山ピークへ続く途と左に山腹を巻くように続く途があって、こちらには『尾根コース』とある。名前の指す尾根とは何か?、思い当たるものが無い。暫く休んでいると、トレラン・スタイルの若者が降って行った。ここからは、急な山腹を可能な限り使ったくの字の途になった。どこかで熊鈴の音がしている。樹木がなければ登れ無い程の急な途の、ずっと上の方にチラチラ、赤いものが揺れている。

賑やかな団体さんが降って来られて、もう上は無人だろう、っと思っていると、更に降りの団体の方々が降りて行く。寂しい場所どころか、明るい場所と人気の山である事を認識した。ピークが近くなる辺りで岩が出てきた。加えて笹、音曲がり竹の類だ。大岩の鎖場を越えると笹の密度が濃くなり、笹漕ぎの笹の中は暑苦しい。途が平坦になり左へ少し歩くと三室山ピーク、遠望の効く見晴らしの良いところである。

見晴らしの良いピークに木陰は皆無、ちょっといるだけで息苦しい程の暑さ、ピークに至る途の痕跡が他に2つ、北からの踏み跡はかなり濃い。と、これだけは確認して直ぐに下山、笹のトンネル付近で登りの男性と出逢う。鎖場を降り、木陰もあり風も抜け、南と東に展望のある岩の上でランチタイム、直ぐ横の登山道を登るアベックの姿が痛々しい。先程の単独男性が降って行かれた。やはり山頂は留まる処ではなかったのだ。と云いながら、こちらもそろそろ腰を上げよう、汗で濡れた身体に木陰の風は寒すぎた。

降り道は早い。『尾根コース』を降ってみると、何の事は無い、谷コースの凡そ50メートル上を歩くだけで『植林コース』に降りてきた、コース名を変えては案内にならない。陽盛りの谷川で顔を洗った、ここでテン泊でも何ら遜色が無い。そのような車が1台、お爺さんらしい方であった。


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