■ 中国山地・滝山
・・・・2018年06月16日
2018.6.17

滝山へのコースは3つ、津山から北に周り込んで尾根に出るコースと那岐連峰の西側から始めるコース、何れにしても車の走行距離が長くなる。やはり那岐山から縦走するのが理想的だ。が、車1台ではピストン以外にルートの作りようが無い。この点を埋める何か、で思いついたのがササユリ。Cコースの至るところにあったササユリ自生地の看板だ。ちょうど今はササユリの季節で、嘗ては何処でも見かけたササユリであったものが、今では滅多に見なくなった。ほぼ絶滅危惧種に等しい花が、那岐山では見られる筈なのだ。

9時前の駐車場に余地は無い。入口路肩に数台、この人気はやはりササユリ?。仕方無くお山への道を出て、自衛隊演習地入口の広い路肩の端に車を止めた。仕度の間に、徒歩で登山口に向うご夫婦が通りかかる。後方に付けた奥様は日傘で、乾いた冷たい風の中、陽光はやはり強力である。歩き始めると人の姿が無い、先程のご夫婦はAコースに向かわれた?。それにしても、コース名がアルファベット1文字は味気無い、もっと気の利いた名称がありそうなものだがどうだろう。

CコースとBコースの出合を過ぎると、干上がった川の様な道が続く。斜度もかなりある暑い道だ。林道のほうが楽なのだが、時間は短いと思っている。時間もかわらないとしたら、この酷い道を歩く理由が消失するのだ。お陰で、林道出合迄に汗が溢れる。出合を過ぎると山腹を登る、斜度は愈々キツくなるのは当たり前、が樹林の中の空気はヒンヤリ、河原の中より余程楽だ。お目当てのササユリの開花は未だ無い。先行者の背中が見えてきた。まずは、登るのを拒否する小学生、付添のお爺さんは困り果て、上からも呼べど促せど動きそうにない。他の子は、明るい笑顔で登って行く。

夏鳥の声が辺りに響き、時には、自衛隊による短銃かマシンガンのような砲声も聞こえて来る。1000mの大岩の前で休む団体さんをやり過ごすとユリの花を見つけた。愈々核心部か?、と期待だけさせて、その後見かけた花は1輪、まことに寂しい事で終わってしまった。過去2度登った時は落葉した森であった。萌えいずる新緑の季節はまるで違う場所で、緑のトンネルを抜けるまで展望は無い。満開のサラサドウダン、明るいヤマツツジの道を抜けると笹原に変わり、いきなり広大な展望に晒されて、思わず声が出るのは皆様も同じ。

澄んだ空気と低い気温のせいか、下界の景色が迫ってくる。那岐山ピークの上は人だらけ、嘗てのピークであるココは、笹原を拔ける風を妨げるものは、再興されたトイレだけ。こちらの方がより優れていると思っている方は少ないのかな?、それともピークハンターが多い?。そんな事は二の次で、延々と続く滝山への尾根道が待っている。滝山までは3・8キロだそうだ。

滝山への尾根道は平坦では無い。登れば当然降る事になり、登り返して、といった事を繰り返し、また戻って来るのだから心もとない。南北に展望のある笹原の縦走路を降ると、往来するハイカーの姿が点々。健脚揃いだと思っている皆様が、俯いて登ってくるのを見ると、相当苦しいのがよく分かる。先ずは、一旦降って登り返した先に見える東屋まで行こうか。

風のあるところは涼しい、が笹原の太陽は厳しいのだ。着いた東屋は先客がいる、空いているのは陽だまりばかり、これでは休む気にもならない。え〜い、滝山まで行ってしまおう。後からは小走りで追い抜いて行く方々、戻りの方々もぼちぼち、岡山の方々はトレランがお好き?、とは言っても、直ぐ前のコブを前にして、勢いのなくなる方も少なくないのだ。遠目には、草原の山腹に針葉樹をあしらった、昼寝さえ出来るだろう居心地の良さそうな滝山は、着いてみればやはり、笹藪と灌木の山であった。

山頂の展望台から見た南の一角に、霞の先の瀬戸内海と小豆島、午前中は雲の多かった北の空は綺麗に晴れて、霞の殆ど無い空に、東側に三鈷峰を従えた大山が聳えていた。日陰を探して、登山道で昼食休息、その間にもやってくるハイカー。半数ほどは西に縦走を続け津山に降りる方々、残りは那岐山目指して戻って行く。復路は思いのほか楽に歩き、と云うのも、前後に皆様がおられる効果。那岐山に戻ると、旧ピークに溢れる程のハイカー、中央に真っ赤なテントとお若い方々、西の武奈ヶ岳といった雰囲気であった。林道出合まで降り、残りは楽な林道を歩いた。木イチゴが僅かに2粒、先行者の思いやりにしては少ない。


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