■ 北摂・半国山
・・・・2018年06月10日
2018.6.10

道中の暗い空からパラパラ、車の窓を打つ雨粒は大きい。が目を挙げた北の空は明るく、うまくいけば傘も不要の可能性もある、何れにしても、そう余裕のある状況ではない事に変わりはない。半国山の登山口としてはもっとも安直な千ヶ畑登山口、空模様と同じで他に車は無い。どうやら雨には間に合ったようで、あるき始めると時折陽射しもある。とはいえ。それは小高い杉の梢から覗く狭い空の事だ。

梅雨の最中、夏鳥は寧ろ元気が良い。オオルリの鋭い鳴き声は辺りを席巻し、ホトトギスの悠長な声は、季節の到来を告げるように谷に木霊する。モミジイチゴの甘い匂いを運んでくる声だ。低い声で、見落としがちなのはツツドリ、少し暗い林の中でも賑やかさに変わりは無い。ひょっと見上げた林縁に、真っ赤なキノコがある。数年前、北山から半国山周辺の林道にも顔を出し、世間を騒がせたカエンタケの様な恐ろし気なものでは無い。タマゴタケの様な愛らしいものとも違う、ベニヒガサかな?。

あちこちよそ見をしながら林道終点、ここからは純然たる植林地の中を歩く。植林地でなければ、陽射しの漏れる落葉樹の森であれば、綺麗な流れの小さな谷川が数本、斜度の緩い山腹を流れ落ちる美しい森になったところだ、まことに残念。陽射しが殆どないから薄暗く、緑成すハコベも無く、流れに写す花も無い。このような斜面をウネウネ、幾らか光のある湿地では、繁茂する苔にその面影がある。最後に斜面を登ったところは半国山の頂上大地、二次林だが明るい森が残る。

薄日の指す森に、花を着けたサワフタギ、ここでもタンナサワフタギが主流で、青い実が美しいサワフタギは少ない。見過ごしてしまいそうな米粒状の花をぶらさげたネジキも今が花期。林床に落ちた、ピンクの花びらのヤマボウシは遂に出処が分からない。それにしても、花の無い樹木の同定は難しかった。気温15℃で風の抜ける頂上大地はやや寒い。最後に、激斜面を登ると半国山山頂、ここへは恐らく100回近く登ったろう。その間にも山頂の光景は変わり、広く明るく、しかし祠などは随分傷み、今では破片も合わせて岩の上に積み上げてある。

風の抜ける辺りを避けると、薄日の中は温かい。灌木の上でウグイスが盛んに啼く。巣作りに適した枝の密集する灌木は、彼らの繁殖地だ。不用意に立ち入ると、酷く怒られるのはダルガ峰でも同じ。西を見ると、植林地ではあるが同じくらいの尾根がある。折角だから、帰りにちょっと寄ってみよう。


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