■ 中国山地・駒の尾山
・・・・2018年05月26日
2018.5.27

西粟倉村に降りると直ぐの林道を右折して、とここまでは事前調査の通りに走り、大きな看板が出てきたらこれを左折すると野鳥園入口がある予定、が大きな看板などは何処にも無く、駒の尾登山口の標識のある道を、お爺さんお祖母さん登山隊を載せた車が数台、林道に消えて行った。件の林道は林道ダルガ峰線、これを走ると千種にだって行ってしまう、言わば禁断のルートだと心得ている。どうあっても野鳥園でなければハイキングに陥ってしまうのだ。

バックしてもう一度確認してみたが、それらしいものがない。止むを得ず、お爺さん達の後を追い、着いたところが黒岩峠駐車場、西の小山が黒岩山、1000mを越える山のピークであった。これはいかん!、とは思いながら、今更他の登山口探してウロウロするのも馬鹿らしい。ここの駐車場は950で駒の尾は1281、たかだか300程のハイキングにしてしまった悔しさが沸々、10台ほど止まる車の主は皆お年寄りばかり、彼らがとんでも無い健脚の持ち主さえ同伴している事は良く承知しているとは言え、登山道を歩き始めた彼らの歩みはまさにハイキングだ。

彼らとの距離は凡そ20分、よく整備された登山口の脇に、申し訳程度、3株のクリンソウ。歩き始めると思いのほか暑い、今日の気温は早朝から高い、加えてガスが掛かるほど湿度も高い。2次林、植林が左右に広がる尾根を登ると避難小屋がある。避難小屋と云うより展望台と表現する方が望ましいくらいの小屋で、回復傾向の天候の中、展望は良い。目の前の尾根に、件の団体さんの最後尾を捉えた。

満開のカマツカやドウダンツツジを前にしたお祖母さん達の歩みは遅い。小さな花を見つけてはカメラを向けて、笑いさざめく一行の横を抜け、間違いなく展望台として建てられた小屋に登って、浮かれ調子のお爺さんの前を横切り、やや平坦になった辺りから鳥の声が賑やかだ。溢れる汗はかなりのもので、蟠る思いは何処かへ飛んでしまった。着いた駒の尾山ピークのストーンサークル、先行者が3人、それぞれ1個の石にザックを置き、立派なカメラで風景の撮影中、やはりお爺さんばかり。

石に腰掛けてさてどうしよう?、右の尾根を歩けば舟木山・後山、左に歩けばダルガ峰、後山方面に歩けばピストン以外にコースが無い、ダルガ峰方面なら林道経由で周回が出来る、周回にしよう。駒の尾山を東に降ると避難小屋があった。これまでも避難小屋兼展望所がよく整備されていた、山岳行政の違いがよく分かる事例だ。北に進むとヤブが出てきた、クマ注意の看板が多いのだ、クマ避け鈴を付けて歩こう。

ダルガ峰方面へ降ると登ってくる登山者が途切れない。なかにはお若いカップルも混じっているし、千種からのコースは人気があるらしい。これだけ人の気があればクマ鈴は不要である。雨の日に歩いた千種から登った峠、大海里峠で小休止、着いたばかりの男性は「暑い、暑い」、と云いながらでも立派なカメラで撮影に余念が無い。年配の男性は概ね立派なカメラをお持ちでソロ、これは男性の特定環境における行動様式とも考えられる。

奥行のある写真を撮るなら、寧ろ雨模様の方が好条件?、先行するカメラ片手の男性の後を追い、歩きやすい道を進むとやがて、ガスと雨の中で一輪咲いたナツツバキが印象に残る場所に来た。今日は陽射しの中で西への展望は文句なし、ナツツバキの拳骨(蕾)は多く、今に沢山の白い花を咲かせる筈だ。が、印象に従えば、暗い雨の中が勝っていた。再び出てきた分岐、右に進めばダルガ峰、直進すれば大茅スキー場、ここは大茅スキー場へ真っ直ぐ歩く。この辺りは斜度が少なく高原状で、そもそもダルガ峰は高原に登った直後の高みでしかなかった。

切り開かれた明るい小さな起伏を進むと前方の虚空でホトトギスがなく。たぶん、飛んでいる間に啼いた様に見えたのは気のせいか。と、別の個体が杉の木の枯れ枝に止まった。間違いなくホトトギス、啼くのを待つこと数分、立ち去ろうとした時に、やはり飛び立つと同時に啼くのを見た。結論、ホトトギスは、飛びながら啼くものらしい、どうだろう?。ホトトギスが啼く様になるともうじき梅雨だろう。

平坦な樹林帯を抜けるとカヤトの広がる高原に道が続く。途中にはやはり立派な避難小屋も設置され、秋も深まれば、正真正銘のススキの原に変わるだろう。カヤトが切れるとダルガ峰林道に降り立つ。ここから数キロの林道歩き、子育て中のウグイスに追い立てられ、歩く道の途中に「ダウンヒル完走点」などと書かれた看板が設置されていた。調べたところ、明日は辺り一帯、自転車レースの舞台になるらしい。


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