■ 若狭・長老ケ岳
・・・・2018年05月20日
2018.5.20

仏主の登山口で13度、5月に入って近年時々起こる寒い日だ。1500m程の高みでは、出揃ったばかりのブナの若葉が萎えてしまう年が続いている。歩き始めたところへ降りの車が1台、かなり早い時間から歩いたらしい。昨日からの雨を集めた谷川の水は勢いがある。水源施設の横を抜け、キャンプ場への道を歩くと寂しい林床が見えてくる。道の切端にあった草花も、愈々数が減って、今ではピンクのタニウツギくらいを見るだけになった。

殆ど下草の無い辺りに比べ、鹿よけの柵の向こうは青葉が覆い、とりわけても、植林された栗の木は、柔らかい類の草を纏ってそれだけで勢いを感じる。引き換えて、こちらの林床にはワラビやシダの類が多く、掃除された様に綺麗で、しかし見るべきものが殆ど無い。よく見れば、そのワラビさえ、柔らかいところは食べられていた。鹿の気配は殆ど無い、いよいよ終末を迎えたものらしい。鹿の食害とは無縁だと思われるが、今年のヤマボウシの花は小さくて色が薄い、こちらは冬の寒さが影響したものだろうか。

キャンプ場管理棟について驚いた、長野、福井ナンバーが4台、そこに到着したのが湘南ナンバー、これは偶然か企んだものか?。ご老人二人組に伺うと、舞鶴から来られたよし、車は娘さんのものらしい。「森の京都」のキャッチフレーズの効果も無視できまい。尾根に取り付いた頃から青空が覗くようになり、陽射しの中は暑いほど、がこれもウインドブレーカーを着た状態での事で、手持ちの温度計では7度であった。

尾根は松と落葉樹とイワカガミが覆っている。既にイワカガミの花期は過ぎ、残っているものは極わずか。東屋で、遠望を眺めている間にご老人が追い抜いて行かれる。あと1・5キロほどだ、と仰有るので、いえいえ未だ2・5キロほどはありますよ。姿は樹林に消えて行き、大きな話声が辺りに響く。定年後だと仰有っていたお二人だが、あの様な元気は生来のものだろうか、それとも練習の成果?。何れにしても達者である。

ナツツバキの林に花はなかった、如何に今年は花が早いとはいえ、夏の花には流石に早い。綺麗な尾根が終わると片側植林地の暗い尾根に出る。ここがこのコースのウィークポイント、が今日は珍しいものを見せて貰った。側の立木に「マルバアオダム」と書いたプレートが掛かっている。どう見ても「アオダモ」の間違いだ。暫く歩くと「タンナサワダニ」のプレート、その木はタンナサワフタギであった。これは、無聊を慰めるいたずらか?、単なる間違いにしては手が混んでいる。

その後は「オニイタヤ」のプレートが掛かった木、イタヤカエデの様であったが隣の木は間違いなくオニイタヤで、これも敢えて違う木に掛けた可能性もあり、そうであったとしたら、面白いことをされる人だ。勿論、間違いのないプレートもあり、お陰で面白く無い区間を面白く通過出来た。ピーク下の杉並木の廊下で、ご夫婦が降って来られた。観測所の隣のヘリポートに続く草地でお昼を食べた。例年ピンクの花が綺麗なヤマボウシは、今年は小さい薄い色の花であった。

食後は周回すべく、林道を歩く。陽射しのある樹冠が手の届くところにある。ホオノキの花は未だ蕾が多い、色のあるものはタニウツギばかりで、白い花の木々は今が花盛り。ヤマアジサイは未だ早い。それにしても、草花と呼べるものは殆ど見ない。


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