■ 丹波・鏡峠〜鋸山
・・・・2018年03月11日
2018.3.11

三尾山登山口を見て暫く走ると春日町中山、先週のコースの近くに、鋸山と云う山があった。名称から判断すると、五大山のような岩山が想像され、これは是非登ってみようと、中山からの古道コースを選択した。尾根に登れば「鏡峠」と云う、何やら床しい峠がある。景色の良い水田の中の道を走ると工場の前に駐車場がある。強めの風で、僅かばかりの陽射しではやや寒いほど。

防獣柵を開けたところに、変哲の無い池があった。濁りの残る池には何も見えない、が注ぎ込む谷川の音が響いて、4℃の気温にも拘わらず、春めいて見える。フキノトウなどの一つでも、と見渡しても、凡そ花崗岩質の土の何処にも緑は無い。側のタラノキの芽はまだまだ固い。代りに、ウグイスが応えてくれた。今年初めて聞くウグイスの囀り、よって初音。広い林道には重機の痕跡が残り、道の凹凸は綺麗に補修され、路肩の雑木は伐採されたばかり、材木の搬出でも?、と見ても、出荷出来るような立派な木も無い。

傾斜はそれ程も緩くは無く、直線的な区間の多い林道だ。林道が終わるところで、直ぐ上で起こった賑やかな音、驚いた鹿か猪、まさか熊はあるまい、と構えているところへ、現れたのは自転車に跨がるお兄さん。普通のMTBの倍以上もあるタイヤを履いた自転車である。挨拶だけは、しっかりして行かれた。林道が終わると古道が始まる。ここも例外に漏れず酷く荒れた道で、倒木に塞がれた場所が数ヶ所あった。しかし道自体はしっかり残り、自転車が通行出来る程だから、人ならわけはない。尾根が近くなった辺りで、小さな谷川の流れと、茶屋跡かとも思われる平坦地、傍らに、ちょっと素人っぽい作の不動明王の石像があった。

石像の横に、安政4年と作者らしい3〜4人の名がある。ちょうど明治元年、これを記念したものか、あるいは偶然の産物か、何れにしても、その恐ろしい顔で、不心得を戒める目的で設置されたろう事は推察出来る。仏像から少し歩くと鏡峠に着いた。やや風が強く、長く留まると寒い。春めいたとは云え、425mの峠の道は、霜柱が溶けていない。尾根沿いに右は佐仲峠、左は分水尾根が続き鋸山に至る。

尾根にも、古道か最近整備されたものかは不明だが、綺麗な道が続き快適なハイキングといった状態。流石にこの道で鋸山では山登りとは言えないな〜と思っていたら、途中からちょっと厳しい途に代わった。辺りの山は、低くても断崖絶壁の多い岩尾根で、暫く歩くと、見上げる様な急勾配を経て、その上は岩場、春日への眺望は素晴らしい。ここからは、古い物見櫓の跡らしきものが残る岩尾根を歩いて鋸山606mにピークに着いた。直ぐ目の前に、急峻な岩山が幾つも林立するところである。

帰りに、春の妖精(スプリングエフェメラル)を見に行った。15時を回ると怪しい空、ほとんど陽射しが無い。陽射しがないので雪割りイチゲは項垂れたまま、その他のイチゲやセツブンソウ、オウレンなどは、強い冷たい風の中で、辛うじて花を開いていた。


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