■ 台高・木梶林道〜馬駈辻
・・・・2009年09月21日
2009.9.24

高見トンネルを抜けると直ぐ休息所がある。休息所の奥から木梶林道が始まる。林道といっても奥は確かにそうであるが、分岐までは旧国道に違いなく、思っていた以上に損なわれていない。

カーブミラーが十分であれば、一般道としては申し分ない。林道入り口に先行者が一台、広からぬ駐車地で、殆ど水平に作られた林道が続いている。

入り口から谷底に続く遊歩道があって、三つの滝があるらしく、ずっと先で合流するらしい。随分深い谷底まで行きつ戻りつする勇気はないので、陽差の割には涼しい林道を暫く歩くと、立派な滝と不動明王を祭った祠があった。

水量こそは少ないが、首が痛くなるほど見上げても見えない辺りから下り落ちる様は、権現信仰の対象としては一流である。

小さな公園程度に整備されているのは、少なくとも参詣の人がそれなりにあることを表しているのかどうか、良く分からんところである。さらに暫くあるくと先ほどの遊歩道と出会う。

林道はその先で谷に向かって別れており、水平道は相変わらず谷の奥に向かってなだらかに続く。谷向こうの山々は自然林の林が続いているが、樹冠の大きさから判断して二次林に違いない。

漸く台高の支尾根あたりが見え初めたが、こちらは完全な植林地が続き、一部は最近伐採されたかして丸坊主のところもあった。一台の車があって、見上げた山腹の中ほどに、人サイズの杉の中で異様に蠢くものがある。世はすべからく休日では無い訳で、随分暑そうな中、ご苦労さまである。

一際大きな水音が轟き、水の柱が木陰に見える。見えはしたが、全体がはっきり見えないもどかしさがあり、終に滝の全容の程は不明ではあったが、かなり大きな滝であろうと思う。滝傍を過ぎると、谷川は道の直ぐ下まで接近した。あまり美しくない水が流れていて、川底には泥が溜まってみすぼらしい。

見渡す限り杉林に囲まれ、直ぐ目の前の山は伐採されてそれ程も立っていない。

林道が終わっても踏み跡は続いており、少し先には木梶山登山道の立て札があった。そこからも谷川を着かず離れず踏み跡は続く。一体何処まで続くやら、川に水の始まるところまで、尾根に駆け上がるところまでは行くつもりであるが、何分、杉の林と散乱する間伐材とで趣というものがまるでない。ややもすると後悔の念が頭を擡げてくる。

谷川が大きく二つに分かれ、主流だろう右側の流れに沿って真っ直ぐ続く踏み跡を辿り、滝場の巻き道を越えると更に二つに分かれた。どちらも夏からの渇水で水が殆ど無い。右側の谷は直ぐに水が枯れ、苔むした岩の谷が尾根まで駆け上がっていて狭い。

左はまだ心細い流れが残り、谷も広い。左の谷を詰め、鹿の足跡や糞で汚れた源頭部で、岩の下から湧き出す水を見つけて汲んだものの、有機物が混じって、正直なところ、冷たい水でも飲みたいほどではない。

尾根が近づくとミズナラやブナの巨木が多くなり、先ほどまでの杉の林や二次林とは明らかに異なる。辿りついた尾根からは、左の端に、笹が特徴である檜塚が見えた。目の前の山は国見岳と水無山であろうから、この尾根は馬駈場の尾根に違いない。

右に歩いて台高主稜線まで歩くと馬駈辻に出た。直前の木に巻かれたテープは「水場3分」とある。

谷に下り水場を探すのであるが、どこも枯れて、有機物を含んだ水しかない。流れの傍に焚き火の跡がある。水さえあれば結構な露営地であった筈だ。湧き水探して歩けども、やっと見つけた水はペットボトルに入らない。大きなミズナラの林立する谷であった。

馬駈辻に戻り、赤松の梢から、檜塚への眺望が一番良い場所を露営地とした。
雲が広がり始め、台高主稜線を越えて西に沈む夕日は殆ど見えない。温かく、静か過ぎるくらいの夕べであった。


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