■ 丹波・佐仲峠〜黒頭峰〜夏栗山
・・・・2018年03月04日
2018.3.4

春日から、車で1時間近くも走ったと思う、篠山市佐仲ダムのどん詰りが登山口、途中の道は、ダム湖でのワカサギ釣りの車で殆ど隙間が無い。湖と云うより池ほどの大きさで、湖面に浮かべた筏の上は大賑わい。見上げた空はほぼ全域雲に覆われ、しかし今日の暖かさは有り難い。登山口から続く舗装路をぼちぼち、少し歩くと汗ばんできた。

管理された様子の無い道はうねうねと続き、途中に軽トラが1台、車の中に、ハンターが良く身に着ける類の蛍光色のジャンパーがある。一般には2月末が狩猟期間の最後、兵庫県は3月中迄だと思っているから、近くに居られると何かと物騒でいけない。止めたところから判断すると、向かいの山辺りに向かわれた様で、まずは安心して良いだろう。高度を上げるに伴い、倒木等が増えて来て、越えるのに苦労する所もある。身体に柔軟性が必要だ。

この峠道は、神代の時代から続く、由緒のある道だと書いてあった。古代、出雲族の東進に使われた道だとも書いてあった。それは、舗装路が終わったところから続く、近代に至ってなお続いた峠道整備の痕跡を見ても良く分かる。石の他、コンクリートで補強された山道を、初めて目にした。広めの山道を暫く歩くと佐仲峠、峠を越えると春日町、その気で歩けば凡そ30分、車より早い事になる。春日側は、峠下まで舗装路が来ている。神代の時代からの夢はどうなるのだろう?。

峠を右に登れば三尾山、こちらは雨の中、春日から登り、周回した。今日は左手に歩き、黒頭山(峰)を目指す。第一に、クロズなどとおかしな山を見てみたい。その横に、夏栗山と云う、これも面白い名の山があり、何れも高からぬ山なので、併せて歩いても、それ程も距離が無い。尾根に出ると、ここにも溝状になった古道が続く。最近のものらしい踏み跡はなく、かなり荒れてはいても見失う様な途では無い。

斜度の少ない、良くできた途を黒頭山直下まで歩くと、最後は見上げる様な急斜面を登る事になる。やっとの事山頂の平坦地に着き、登って来たコースを振り返っても、山腹が見えない程の急斜面だ。その上、山頂は平凡で、興味を唆るものが何も無い。周囲は全て急斜面で、周辺からは形の良い山に見えるはず。山頂に夏栗山への案内があった。案内は無くても、赤いテープが至るところにあって、少々うるさい程、が降りる処を間違えると、あと行程は大変だ。

暗い植林の急斜面を降るとやはり古道らしい、広くてしっかりした道に出た。ここも同様に酷く荒れた道ではある。山腹を巻くように歩くと道が別れる。右へは降り、左は夏栗山へと続いている。こちらの山は緩い勾配で歩きやすい。そのせいか、猪の工事跡や鹿の寝床の跡が目に付く。日本リスの、ゆっくり歩く様子は峠道で見た。勾配が無くなる処に人工物らしい盛土があり、広い山頂の中央部に鉄製の展望台があった。その先に、小さな観音堂があったが、大正時代に作られたもので、城跡との因果関係は不明、何の案内も無い。

残念ながら、展望台からの眺望は今は無い。が城跡を概観するには手頃な高さで、周囲に整然と築かれた土塁の跡ははっきり分かる。立派な山道の先の城はどんなものであったか、それにしても、何の情報もないのは何故だろう?、凡そ平時に使われたとは考えられない三尾山でさえ詳しい案内があったのを考えると、余程古いものか、資料が焼失などして失われたか。

貧しい日本の地域でさえこれ程の数の城があった、当然これらは相争うためのものであるから、争いはさらなる疲弊をもたらしたに違いなく、神代のご先祖様は、どのような眼差しで、その様をご覧になったことか。今も残る古い道を辿りながら、そうした事が念頭を掠める日であった。


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