■ 京都西山・地蔵山
・・・・2018年01月14日
2018.1.14

川の土手の辺りに人が集まり、煙のようなものが立ち上がる。正確には明日だけれども、休日となると今日が「とんど焼き」の日で、松飾りや注連縄を焼いた火でモチを炙って食べたものだ。そうした行事は未だに残っている。越畑までの道に雪は無い、一旦越畑に入ると道にも雪が付いて、見上げた山の樹木に、舞い降りたばかりの雪が乗り、常緑の葉はより鮮やかに、更に上部の辺りの裸の樹木は、雲の多い空に溶け込むように、幹と枝の隅々まで氷が着いて白い。

いつもの駐車地に軽トラが1台、先行された方だとしたら、あの方かな?。府道の雪掻きに余念の無いおばあちゃんの横をすり抜け、どこへ行くかと尋ねられ、地蔵山ならこの程度の雪でちょうど良い、と言葉を頂き、先行者の踏み跡の残る道を集落の登山口へ歩いた。気温3℃。の路上に黒い子猫が佇んでいて、これは以前、顔を見るなり逃げられた奴で、今日もまた、声を掛ける直前で逃げられてしまった。見ると、家屋と庭の敷居の辺りで様子を伺っている。彼のものだろう足跡は、畑の雪の上にも残っていた。

峠までの道程がもっとも大事な行程で、火の入ったエンジンに少々負荷を掛けると、熱と冷却水が容易に得られる。これが半ばは目的であるから、峠に着いたところで滴る冷却水がなければ目的を達成したことにはならない。今日のところ、顎から髪の生え際から溢れる冷却水はまず良かろうと思えるほど。先行者は無休で地蔵山を目指しているのを確認しつつ、倒木の上に腰掛けて小休止。長く留まると、零下の気温ではたちどころに冷え始める。

今日の雪は降ったあとも形状を留めている。唯一の先行者の足跡だけが続いている。と、続いている筈の足跡が無い?、分岐を真っ直ぐに進んだものなら、この上の林辺りに顔を出すだろう。暗い山腹を登坂中、あっちこっちでサイレンが鳴り出した。田舎では今でも、時報鐘としてサイレンを使用している。突然鳴だすと驚く場合もある。今の場合は正午の時報、遠くと近くで5分程の誤差がある。先行者の足跡は元に復して、長い急斜面を登る。ここら辺りは気温が低く、−4℃では汗は表面に出ない。風がないので額に滲む程度。

ソロの男性が降りて来た。その顔には見覚えがある、登山道整備に勤しんでおられた無口な方だ。彼のお陰で、この先の馬酔木の密林の通過が可能である事を知っている。無口で、髪はロングの茶髪を束ね、やや肥満気味の、一見しただけでは得体の知れない男性、これが偽らざる感想だ。登山道整備に乗り出した動機は何だったろう。彼の踏み跡と続いていた踏み跡は一致した。これで峠から登った方はおられない。

馬酔木はなだらかになった山頂部をほぼ席巻する勢いで繁殖している。ところが、斜度の出る山頂周辺部は落葉樹が中心で、今日の樹木は霧氷で皆白い。青空が無いのでカメラ写りは良くない、が冬の色として見れば、氷の世界を彷彿させる背景としてこれ以上は無い。西向地蔵様も同意見であった、たぶん。お地蔵様を訪問して、ピークに移動、ここで今日2人目のハイカーと出会った。何れも寡黙な方々であった。


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