■ 北摂・剣尾山
・・・・2017年12月17日
2017.12.17

空から舞い降りる雪は白い。時折射す、暖色に満ちた光の中に雪が舞う。北の空は灰色で、冷たい風は強く気温は2℃、蓄えた光の既に失せた、冬枯れの草紅葉に光が指すと、その間だけ温もりが戻る。小さな流れに沿って上りながら、花らしからぬワレモコウの、枯れた花を見たい。ワレモコウの花は、一見しただけではヤシャブシの実と何ら違いが無い。花期を過ぎたところにどんな物が残るのか、見てみたいと思ったのだ。が、ワレモコウの姿は何処にも無い。大風で飛んでしまったか人に手折られたか、痕跡を残さない性なのか。

登山口から谷に入ると鹿の警戒音が辺りに響く。声のした方を仰ぐと尾根を行く5〜6頭の鹿、透明な林と薄い雪で、白い尻は丸見えだ。そこへ降って来た男性一人、400年ほど前の町丁石や解説板を、興味深く覗いている。どうやら、鹿の警戒は彼に向けられたものらしい。この上の谷は彼らの領域だ。道の水はほぼ凍りつき、気温はグッと下がって氷点下、気合を入れて歩いても、落ちるほどの汗は無い。山腹の気温は−3℃、陽が射すと暖かい。が隠れると途端に寒く、温度計の数値は同じ値で、暖色の林はとなりの事だ。人の感覚が創り出す現実。

月峯寺の境内下から下界を覗いてみた。市内の方は、霞がかった中に高層のビルがボンヤリ、遠景は雪が隔てる。行者口からの道に乗り、山鳴りも穏やかな境内横を抜けてさあ山頂、とここで足を止めよう。あの、余りに無遠慮な行為は、団体さんに違いない、それにしても大胆な。山頂に乗って驚くなかれ、山頂の何処にも隙間が無い、4組ばかりの団体さんで、満員御礼の状態であった。先程の無礼ものは、人混みで判別不能。そういえば、妙見山の登山口にも登山者が溢れていた、今日はそんな日かな?。

心持ちのみ山頂の一部の、岩の上で小休止、集団越冬のガラの仲間が賑やかだ。とりわけ小柄なコガラ(文字通り)は好奇心が強く、人も恐れる様子も無い。そろそろ陽射しがなくなりつつある山頂は寒い。野外活動センターに降りるべく、横尾山方面に降って肩から北の踏み跡を辿った。踏み跡は枯れ草に埋もれ、倒木が塞いで、団体さんのみならず歩く人が少ない。何れは消えてしまう途の一つだ。

相変わらず雪の舞う道をブラブラ、2キロほど歩いた。常緑のツバキは赤い花、岩の上で、風に震えるコウヤボウキの白髪頭に紅色が無い。


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