■ 中国山地・那岐山
・・・・2017年11月03日
2017.11.5

未だ先に行けと云うナビを無視、少し引き返して右に登る道を発見、狭い道を恐る恐る登って見ると駐車場があった。用意の出来たハイカーが1人、こんな早い時間に10台くらい、車を止めて一服の間にもう1台。みんな岡山ナンバーばかりが並んでいる。用意をする間にも、上の駐車場に向け車が登る。もっと上にも駐車場はあるらしい、が降りてしまったものは仕様がない。

潔くあるき出したところに鳥取ナンバーが止まった。路肩の草地に車を入れる、上の駐車場はと見ると1杯だ、けして広い駐車場でもない。直ぐ右手に「蛇淵の滝」の案内標識がある。凄い名前の滝だから行ってもみたいが、事のあとならいざ知らず、今はひたすら登ろうか。転がる拳大の石はあるき辛い。少し歩くと橋を渡り、ここでBコースとCコースが別れ、事前情報によれば、楽々と登れるらしいCコースを辿るのだ。

暫くは川底のような道が続き、作業道に出て楽な方に、とキョロキョロ、目指すCコースは目の前の急斜面に続く階段を指す、え〜楽じゃなさそうな。後から来られた単独の男性、僅かな躊躇も見せず杉の林に消えていった。止む終えず歩き出した杉の林に続く道、日差しは無いので暑くは無い、が展望はまるで無いのが不満である。事前情報によれば展望は良いはずだ。

暗い林を過ぎた頃から道は右手の明るい伐採地に向う。伐採地に出るところで、ほとんど小走りで降るお爺さんとであった。上半身は裸、胸に汗が滲み、声も幾らか震えていたように思う。これは、間違いなく有名人に違いない。愛宕山でもその様なお爺さんと出会った。降ってから調べて見た結果、やはり那岐山の有名人で、年間250回もの登頂が目標らしく、冬でも上半身裸らしいから凄い。そういえば、登り始めて遭遇した単独ハイカーはみな、目を見張る様な方々ばかり、一目散に登って行かれる。お爺さんの影響だろう。

1000メートルの尾根に乗った、ここには文字を刻んだ岩があるらしい、登ってみたが文字より暑さが応える。鈴を付けた後続のカップルが追いつき、岩場を彼らに譲って登り一辺倒の道を黙々、広い登山道の周囲に張られたロープには、ササユリの自生地と書いた札とササユリの写真、写真の方は傷みが酷い。見上げた那岐山ピークは遥かの高みに聳え、目の前の支尾根がもっかの難関である。そこへ先程のカップルの鈴の音が響く。さすがに負けられない。

見上げれば、主尾根までの道は更に傾斜を増している。ここでフルパワーを出してしまうと後がもたない、それでも良いか。迫っていた鈴の音が遠のき、一面笹に覆われた主尾根に乗った、見るべき花などは全くない、が南側山腹に広がる紅葉は美しい。のみならず、目の前のピークから西に延びる尾根は素晴らしい。ゆっくり延びる笹の尾根に一条の道が続く、その先に、一際高い峰の黄葉の中に配された緑の樹々、その先は津山辺りに続いている。歩いてみたい尾根である。

目指す那岐山の狭いピークにハイカーの姿、屋根の飛んだ避難小屋が目の前にあった。2週間前の台風禍によるらしい。する間に、鳥取県側に降る方、西に延びる尾根を辿る方、いずれも単独である。ここでエネルギーを少々補給、これでどうやら後半も歩ける。鈴の音のアベックも小休止、お先に降ってもうひとつの避難小屋等を見学し、岩場の上で昼食にした。昼食後に辿り着いた那岐山ピークは、先程の笹のピークにやや劣る。広がりにおいて、先のピークは数倍勝っている。

ピークを降ってBコースで下山、ところが後ろで響く鈴の音が気になる。振り返ると先のカップルがいるではないか、競争の様な山歩きはもう止めよう。ちょっと長いがAコースで降ろう。彼らはBコースに消えていった。直後に現れた地元だと仰る単独男性、鳥取県側に降った男性で、登り返して戻って来られたところ。お話を伺うと中々の健脚、ここらへんには凄い方々がおられる。

厳しい降り一辺倒の道を終えると真っ直ぐに、目の前に聳える山頂まで続く急階段、見れば、降り立った林道を辿るとBコースに合流できるではないか。ここは思案のしどころで、ま〜しかし、ここまで来たら最後まで、歩こうか〜。降りで疲労した膝は上がらない。親切に、階段においてある土嚢は有難かった。段差が半分になるとかなり楽。苦労のかいあって、那岐山の全容を見る展望所では、山腹の紅葉を見下しつつ、流した汗が引いていく。トレランらしい若い男性も混じって、盛んにシャッターを押していた。

このあとの道は面白くない。最後に降りた、菩提寺の大銀杏には驚いた。幹周り20メートルもあるだろう、巨大な銀杏の木である。


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