■ 中国山地・泉山
・・・・2017年09月24日
2017.9.24

泉嵒神社と云うから、巨大な岩がシンボルだろうと思っていると、駐車場の直ぐ上から続く参道の入口横に、丸い大きめの岩が据えられていた。かなり広い駐車場に先行車は1台、昨日の雨に未だ濡れた樹木は、夏の勢いを残している。鳥居下の登山道概念図を見て、予定の通りAコースをピストンする事に決め、歩き始めた舗装路を、地元の軽トラが勢い良く登って行った。

登山口まで1キロ歩く。道端に咲くツリフネソウ、ミズヒキ、少し前までは、何処にもあった初秋の光景があった。近頃は、こんな草花を見る事は滅多にない。一重に鹿の食害と云うのは容易い、がこれからはどうなっていくものだろう。泉山の案内標識に沿って、突き当りを右に曲がると明るい谷に出た。異なる花々の中を歩いて左に折れる山道を行くと、杉の林に登山口の標識がある。今日は雲が多くて杉の林は暗い。

暗い代わりに気温は低い、回復傾向の天候を考えるとそれ程も悪くない。杉の林に松が交じるようになると登山道の雰囲気が良くなった。どうも古道だと思われ、溝状に深く掘れた道の縁に踏み跡が続く。暫く、京都のユリ道を思わせる、歩き易い立派な道が続くと谷川に出て、「水場」と書いた看板があるのは、この先に水は無いと云っている。これから尾根に上がるのだから、当然水は無かろう。あえて書き記すのは、ひょっとして、湧水・名水だから?、と思いつつ上流を伺うと谷川の流れは続いている。

自然林も交じる様になり、ヤマアジサイの緑の花弁が残る踏み跡を辿ると、遂に谷が終わって1面の笹原に出た、と思ったのも束の間、右側には手入れのされない植林が続く。ここは「百乢」と云うのだろうか?、笹原に残る、暗い植林地に続く獣の踏み跡が気にかかる。日差しの出てきた笹原は少し暑い。周辺の木に、見事に実を着けたサルナシ(キーウィの原種)が多い。1つ取って見たが未だ硬い、食用にはあと1週間は先の事だ。ひだまりに、濁りの無い、金色の花を付けた、アキノキリンソウが目に着く。とても可愛い。

振り向くと、津山辺りだろう街並みが見えだした。右側のヒノキを無視すれば、左側の二次林にはミズナラが多く、風で落ちたドングリは登山道の上にも転がって、気が付くと足の置き場が無くなる。見た事のない、妙なキノコを発見した。キツネノタイマツと云うらしい。そんな名に相応しい形と色だった。厳しい斜度が続き、これは流石に応えた。這い上がったピークは井水山の標識があった。途中に「福ヶ乢」と云うのがある筈なのだが、何処だったろう?。東から南の眺めは素晴らしい。目指す泉山は何処だろう?、前方には2つのピークが聳えている。

ここからは、降って登って、笹原が主体で、形の良いカラ松を散らした伸びやかな光景が延々、が辿り着いた山は泉山ではない、目指す泉山まで2つのピークを越えて行く。笹原に続く登山道には、色々な花がある。カワラナデシコにはやや遅く、萎み始めたものが多い。リンドウには少し早く、開花したものは見なかった。やはり目に付くのはキリンソウ。時期外れのイワカガミの花も見た。

加えて、登山道に顔を出した蛇の多い事、30匹程は見ただろう。特に黒化した個体が多く、シマヘビのみならずヤマカガシも居たように思う。太くて長いマムシには驚いた。

やっと着いた泉山ピークは無人、北を覗くと、峠からの道に背中を見せる人影が1つ。暑い日差しをまことに小さな木陰で避けて、奥津温泉だと思われる街並みを見下ろし昼食休息。残念ながら、大山辺りは薄雲の彼方、北東の高みに見えているのは花知ヶ仙だと思われる。先行者は、山木屋で昼食だろう、既にピークを去った足跡は確認している。降り、といっても、井水山までは降って登って、そんな苦しい行程の最中、泉山に向う方々が10人ばかり。百乢の笹原で、藪を漕ぐ獣の気配があった、あれは熊だと思う。


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