■ 多紀アルプス・三嶽
・・・・2017年09月10日
2017.9.10

沿道の気温はそれほどでもない、ところが、登山口である火打岩の路上は、溶けてしまいそうに暑い。日向はまだ、本格的な夏であった。山陰に入ると、過ごしやすい程度に涼しい。路傍の野草も綺麗に咲いて、ツリガネニンジン、アキノタムラソウ、アキノキリンソウなど、どれも特別に色が濃いのは、ここの土壌に秘密があるとみた。やや傾斜のある陽光の中でも、背の高いツユクサは鮮やかな青色である。

登山口を見ると、完全武装の2人組が、家の間に隠れるところであった。余りの暑さで、やや消沈気味であった登攀意欲は、樹林の中の意外な涼しさに助けられ、旺逸とはいかないまでも、いつも程度には回復した。しかし、尾根までの短い距離が特別に応えるコース。何とか尾根に乗ったところで大休止、登山道に横たわる倒木に腰掛け、冷たい水で体を冷やす。後続があったらこうはいかない。

再び歩き始めた三岳道、いつの頃に整備されたのか、極めて歩きやすい道が続いている。クリンソウ自生地までは楽に歩ける。恐らく、寺院跡の解説にある通りなら、千年前にもあった道だ。道の下の横穴に置かれた仏像が証拠。クリンソウ自生地からは、峠に向って下っていて、お山には登らないから、そこからはキツい。およそ600の高度差は、最初と最後の2箇所で消化する、故にそこは応える。

など思いながら、クリンソウ自生地も過ぎ、水の戻った、嘗ての水飲み場を過ぎると急斜面。三岳の岩場手前で、谷から上がってきた若者が一人。彼の小休止の間に、岩場を攀じって展望テラスで涼風に吹かれ、る予定であったが、ぬるい風の吹く岩場は暑かった。汗が引くどころか、寧ろ余計に汗が出る。灌木越しに、荒い息遣いを残して登って行くハイカーが4・5人、彼らの行ったのを確認して再び登山道、小金ヶ岳を望む岩場の風は涼しかった。

ピーク手前で、先程の若者が降ってきた。ピークから響くおばさんの声は賑やかだった。彼は、弾き出された格好だ。ピーク反対側の岩場で、冷たいもので小休止、木陰の無いピークは暑い。若者の次に降って行った男性が、戻って来られてオオタワに降る。その間に、新たに2人のパーティがピークへ向かった。ピークはエライ事だろう。

オオタワ(峠)に向って下降、殆ど崖に等しい鎖場で、先程の男性に追い付いた。岩を落としては一大事、少し距離を開けて歩こうか。近くの藪で、ソウシチョウに似た鳴き声の鳥がいた。藪の中では確認が出来ない。それにしても、特別外来種指定は酷い、それほど害を成す鳥でもあるまい。賑やかな声が聞こえて来た、ピークのおばさん登山隊の方々であった。彼らの絶え間なく続く会話には、いつもの事ながら感心する、凄まじい。

峠に降りると、車の数に驚いた。隣の杉の林に出来た、フォレストアドベンチャーは結構な人出、家でゲームより体に良かろう。大休止してお昼ご飯、する間におばさん登山隊も降りて来て、コーヒーを飲むべくバーナーに火を入れたところだ。峠からの帰路、女性の名の付いた滝方面の足跡を確認した。この夏草の中、良くぞ行く気になったものだ。若者がそうなら、彼は短パンではなかったか。ガマズミの実も赤く色付き始め、妙な殻に覆われたものは虫こぶらしい、日差しの朱色を写したとも考えられる。


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