■ 若狭・頭巾山
・・・・2017年06月17日
2017.6.18

先週に続いて頭巾山、しかし名田庄からは初めてで、考えてみれば、堀越峠を越える事は相当高いハードルであった訳で、今回は遂に、本州の分水嶺を越えての頭巾山だ。タバコの補給に寄った名田庄の道の駅、結果は戻るまでの禁煙になった、登山口へのルートを確認、直ぐ先の道を左折し川沿いの宅地を抜けると心細い道が続く筈であったが結構立派な2車線道路。流石に2車線はいつまでも続く訳もなく、ところが単線の道でもとても綺麗で、これには訳が?、と訝しく眺めているところにかなり大きな人造湖が出現した。

ここから先は心細い?、ところが立派な道はなおも続き、あっと車を急停止、左側の道横に、登山口の案内らしい看板を発見した。少し戻った広めの路肩に車を止め、徐々に晴れ間の広がる明るい空、柔らかな黄緑色の森に感心しながら看板の前、え〜、登山口はここから4キロ弱ほども先であった。ま、良いか、歩こう。渓流に沿う谷は野鹿谷、本来であれば綺麗な水の流れる美しい谷のはず、今日の水はやや濁りがある。川底にも垢が着いて、お世辞にも美しくは無い。

そんな谷でも釣り師はいるのだ。小さな水くみを提げた男性が降ってきて、中を覗くと15センチばかりのヤマメが一匹、20センチくらいかな?、いいえ、15センチくらいです、とは正直な若者だ。嬉しいのは分かるが、何処にも車はなかったのだ、どこまで降るのだろう?。道の山側にはヤマアジサイや草アジサイなど、川面を見ると、ヤマメの影、彼の腕は発展途上だ。1時間ほど歩くと景勝地らしい雰囲気の場所がある。野鹿滝と付近の渓谷を併せた散策路が整備されている。が、今日のところは他に、人っ子ひとりいる訳では無い。

なる程ここまでは車でも良かった訳で、改めて登山口の看板を見ると、ここから更に1キロ強もあるらしい。合わせて5キロも歩くのだ、ま、それもありか。落差35メートルの滝の落ち口を過ぎると、ダートに代わった道が延々と続いている。道のあちこちにヤマゴボウの花が満開、軽く摘み上げるとゴムの様な感触があって、どうにも気色が良い。谷川の水も枯れ、瑞々しい明るい森が近付くと、右側に登山口の案内があった。地図を観ると、登山口かシャクナゲの保護地の案内か定かでは無い。定かでは無いが、ミノムシが居るのは良く分かる。ミノムシには、地図も揺り籠である。

ここまで良く歩いたので小休止、一雨あれば、水の流れも回復するやも知れず、待ち望む方も多かろうとは思うのだが、移動性高気圧のもたらす乾いた、冷たい風は気持ちが良いものだ。さてと、水の無い川を渡渉、登山道はと目で追うと、目の前の急斜面に続いている。これはまた猛烈な急登?、ここは兵庫の山と違って山陰の方々の付けた道、急斜面に続くくの字の道は穏やかで、登山者への負担はごく僅かだ。緩やかな道は山腹に続き、尾根に出ると一転、斜度の嚴しい細尾根になった。

大岩を巻くとトラロープのお世話になり、大汗を降らせながら岩場を登る。遠くの森で、アオゲラの木を突付く音が木霊する。如何に問題の無い構造を有しているとは云え、あの鳥の神経は尋常ではあるまい。30分ほど急斜面の細尾根と格闘し、飛び出したところは明るい頭巾山の西側尾根、眼下に樹海の先の日本海を一望にする展望の良いところだ。既にシャクナゲもイワウチワも終わり、色褪せ始めたサラサドウダンは水不足の故では無かろう。

少し登って、ブナの根本のイワウチワの絨毯の上に敷物をして、木陰ではやがて陽射しが恋しくなる程の気温の中でお昼休息。後でピークにも寄って見たのだが誰もいない。花を終えたナナカマドは、既に幾らか色付いて、秋の饗宴に余念が無いのを確認した。こんな絶好の山日和に、皆さんは何処ら辺りを歩くのやら?、降りに入ると流石に早い、残した林道は凡そ5キロだ。


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