■ 鈴鹿・綿向山
・・・・2017年03月12日
2017.3.12

山頂辺りは多少白っぽいところも残っているようだが、概ね雪は見えず、それに比して比良の稜線はほぼ真っ白で、これは少し選択を誤ったかな?。もとより比良の雪は充分承知、少しだけ静かな山域を選んだ積りの綿向山、けして雪を捨てた訳では無い。歩きで登山口に向かう単独ハイカーが2人、1人は女性だと思われ、駐車地に着いて驚いた。駐車場は満杯で、橋の手前の枯れ草の空き地に数台。ここに捩じ込んで、直後に山ガスタイル2人組が歩き出す。そこへ新たに車が1台、およそ静かな山らしく無い。

登山口までの舗装路に、処理済の杉の倒木が2箇所、雪は既に無いものの、十二分の雪があった事はよく分かる。少しだけ残った雪の涎は薄い氷になり、登山靴のソールとは甚だ反りが合わない。足を載せても取り付く島が無い。こんなところは恐ろしいので、出来れば足を載せたく無い。載せたくは無いから、舗装路の舗装路らしからぬ処を選んで歩く。雪が出て来たら雪の上を歩く。

そんな事で、登山口の小屋の前で1枚脱いだ。ここで右に折れると水無山北尾根コース、クラストした雪の急斜面は恐ろしい。山腹を一杯に使った表参道はその点の心配は無い。有難い平坦な道に雪が出て来た。植林地の中ではあるが、登山道以外に雪は殆ど無い。が、踏まれた雪は固く凍って残っている。後ろの気配に振り向くと、後から来られた車のお2人。若い上に、靴も軽そうだし、しかし素直に道を譲ったのでは面白く無い。少しだけ速く歩くと先行した山ガに追い付いた。

道を譲って戴いて、次いで、道を譲って、距離はそれ程も離れていない。辺りに雪も出て来たし、5号目小屋前でアイゼンを着けよう。5合目小屋は雪の中で、空に雲は無く快晴、眩しい程の光の中であった。これより上は雪の中、皆さんもアイゼン装着、なければないでも済みそうな雪質だが、あればあったで心強い。で、歩き出したら皆さんも後に続く。先程のお2人も続いていた。勢い歩みは力強く、ところが久しぶりのアイゼンは重い、緩んだアイゼンを整える為とは云え、7合目の不動明王の前で、行列を離脱したのは遺憾であった。

7合目からの冬道は雪と氷、強烈な風のお陰で雪より氷が多い。雪上に大量の霧氷の残る急斜面、溜まってきた乳酸で足が重い。最初の急坂を登ると湖北の山々、殊に、雪を戴いた伊吹と御池の姿は白眉であった。歓声を上げ、カメラを向ける方々を残して更に急坂を二つ、やっと山頂尾根に飛び出ると、目の前に雨乞岳が聳え、イハイガ岳に続く尾根には、この山で初めて見る規模の雪庇があって、陽射しの溢れる銀世界。苦労して坂道を登って来た甲斐があった。

雪庇の上にも多数のハイカーがいる。殊に女性が多いのは、偶然かこの山の特色か、確かに過去も多かった事を考えると、そう結論しても良いだろう。しかし中には不埒な方々もいて、一概に喜んでばかりは居られない。風の無い雪の上で弁当を開くと、俄に吹き起こる旋風。南側の雪庇の下は眩しくて、顔の日焼けが心配だ。お弁当が終わると帰り道、周回コースの竜王山方面に踏み跡は無い。ピストンで満足する事にして登る雪庇の上、降って来られたパーティの賑やかな事、降りの急斜面に入っても、大きな笑い声は聞こえていた。


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