■ 丹波・烏帽子山
・・・・2017年03月05日
2017.3.5

今日あたり、とても温かくて道の凍結の心配も無く、雪山にも行きたいし、しかし今を逃すと見られない花もあり、結局は、丹波市青垣にある「ふるさと生き物ふれあいの里」のセツブンソウを見る事にした。この辺りは石灰質で、至るところでセツブンソウが見られると聞く。

小ぢんまりとしたセンターにしては、広すぎる程の駐車場に車は3台、管理棟の前の繁殖地に、カメラ片手のご夫婦が陣取り、ならばと入口スロープ上の繁殖地で観察会。やや遅すぎたのか、大きく開いた花びらに、独特の透明感が見られない。管理棟の前の個体も同様で、雪は無くとも、雨中の花びらは美しかった事を考えれば、この花は快晴より雨が合うと思われる。

鑑賞が済めば山歩きだ。センター敷地の遊歩道を歩き、展望台から烏帽子山を歩いてみよう。石灰質であるから、夏場には山ビルのお世話になる人も多かろう。ネットでは、敷地でも相当の数を見ると云う。今日は未だ3月、その様な心配は無用である。距離を稼ぎたいので、一番外側のコースを歩いて展望台まで。歩く人は少ない様で、生茂る灌木や倒木の多い遊歩道は歩き辛い。展望台に近い辺りだけは補修の跡があった。

展望台の東屋から、雪を頂いた氷ノ山が良く見えた。遊歩道と別れて松の林に入るとゲコゲコ、奇妙な声があちこちから聞こえる。カエルの声にしても数が多い、まして池でも無い山の尾根で、何故にカエルの合唱が?。恐る恐る前に進むと、尾根に出来た小さな池、水は濁り、中には声の主のヒキガエル、池の中だけでなく、松葉の上でもあっちにもこっちにも。それも大きい個体ばかりで、ヒキガエル等に弱い方なら卒倒しかねない光景であった。

濁った水の中には半透明の卵が浮かんでいた。招かれざる客の出現で、賑やかな繁殖の儀式は中断、可愛そうに、谷に転げ落ちて消えていった奴もいたのだ。知らない事とは云え、悪い事をした。烏帽子山は展望台から1時間程らしい、先を急ごう。暫く松林やらザレ場やらを歩くと展望の良い伐採地に出た。北向きの斜面には雪も残り、下方には町並みも見える。この辺りには600を越える山はまず見当たらない。向山の北峰で590位だったと記憶している。

従って、尾根歩きをしなければ、距離は出ないし標高差も出ない。このコースも同様で、幾つかピークを越えて行く。杉林が少ないのが有難い、がアセビ等が茂る尾根は道が無くなる。そのくらいなら、杉林でも我慢しよう。ピークを越え、杉林の尾根を降るとまたまたキャンキャン声が響く。ガマの合唱も、ゲコゲコより寧ろキャンキャンに近い響きがあった。またこの辺りにガマのハーレム、と考えたのも束の間、バンバン、と2発の散弾銃の音、あの鳴き声は犬だった。兵庫県は、害獣駆除の為、3月中までが狩猟期にあたる。谷に降りたら危ないな〜。

厳しい斜面を登ると平坦な地形の烏帽子山であった。山頂には2本の不自然な溝があり、これは?、と見ると、烏帽子城址の標柱と俳句か短歌を刻んだ石柱があった。東西は崖、南北の細尾根を使って往来が可能だ、がそれにしても狭い。せいぜい砦が良いところだろう。気温は8度、久しぶりに温かい。地図を見ると、尾根に沿って降った梨木峠ルートなら、周回が出来る。

白い氷ノ山の手前二つは銅山と藤無山。さて昼食を終え、梨木峠に向けて下降開始、と左側上空から、半円を描いて飛び去った鳥があった。威風堂々たる風貌で、後で調べると、クマタカに違い無い。クマタカを見送って、降り始めは厳しい斜面も直ぐに平坦になり、ところが標高が殆ど下がらない。道は相当古くから使われたもので、薄いながら、新しい踏み跡は溝の縁に続いている。アップダウンを繰り返し、ガレ場等を経て、時折は、花らしからぬマンサクの花を見ながら、古道の面影の無い、梨木峠に降り立った。


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