■ 北摂・大野山
・・・・2017年01月09日
2017.1.9

朝のうちは晴れ間も見え、予報では、一時的な降雨で、終日雨であった昨日と同じ様な天候は想像していなかった。大野山登山口には人も車も無く、流石にこの時期に大野山に登ろうと言う人はいなかった。もっとも、道路向いの民家から出て来られたオジサンは1人おられたが。年間を通じて、この地域に住んでおられる方の姿を見たのは始めてである。

嘗ての分譲地に続く道を辿ると、夏草の繁茂する夏場には見えてこない、分譲地の現在の様子がよく分かる。枯れ草の間に、相応に成長した樹木が混ざり、結構広い宅地に廃屋と化した小さな建屋が取り残されて、何れは全て土に戻る運命とは云いながら、哀れな様子は同情せざるを得ない。中には最近補修された家もある様だが、木々の勢力の勝る環境で、いつ迄持ちこたえる事が出来るだろう。

少ない住民による手作りの、谷川沿いに出来た金500円の駐車地も、有意義に使われた様な痕跡を多く留めていない。例年、付近の猟師の集う小屋に、火の気の残る焚き火の痕。近くには、獲物である鹿や猪の道がある。分譲地は、獣道の続く山腹にもあって、バブル期の狂気じみた様子を窺う事がきる。

樹林に入って、小さな雨粒が落ちて来た。見上げた空は暗く、風はないので、俄雨程度はあっても、このまま小康が続く様に思われた。登山道を塞ぐ倒木が多い。松くい虫で枯れた木が、そろそろ立っている事も難しい時期に至った、と言う事だ。それにしても数が多い。石組みで確り作られた嘗ての生活道路も、補修の無い状態で近年の豪雨に晒され、これも限界を迎えつつある。流れ出した道を下り、露出した大きな岩を踏んで、倒木を潜って先へ進む。良い渓相の谷だが、もう少し山体が大きければ良いものを。

酷い倒木を巻いて、泥濘の先は急登の続く暗くて滑る一直線の道、面白味に欠ける道の作りかただ。寧ろ古い道型は、樹林の中を緩い傾斜で尾根に続いている。距離も稼げるし気持も良かろう。古い道型を進むと尾根心に出て、尾根に続く路に合して山頂に向かった。西に展望の在るコースだが、今日は西側はガスが濃い。風も出て来て寒い程だ。

あとは山頂施設の裏側等に誘導されて、背の低い笹が綺麗な山頂に着いた。ガスの中でボンヤリ、先行者の姿が見えた。山頂の椅子の上にザックを下ろして1枚重ねた。先行者は去って行った。途端に風が吹いて、カスが切れた。降って行く単独ハイカー、ターフの下の大きなテント。お父さんらしい男性はテント撤収に余念が無い。傍らで、火を使うご家族の姿。終日続いた雨の中のテント泊、面白い事をお遣りだ。

長く留まると風で冷える、ガスが再び辺りを覆った。車までは持つだろうと思っていた雨は、もう少しで分譲地と言う辺りで本降りに変った。登山道を覆い尽くす濡れた枯れ葉は滑る。隠れた石は、急ごうとする歩みを妨げる。


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