■ 播磨・荒尾山
・・・・2016年11月06日
2016.11.6

宍粟50山の2つ、荒尾山と大甲山を歩くべく旧道を走って美化センターの前。日差しの無いトリガタワ(漢字が難しい)に時折パラつく雨、美化センターはひっそりとして、ゲートの鍵にも人の気配が感じられない。吹く風は冬の寂しさを運んできた。空は一面黒雲に覆われ、山頂付近はガスで見えない。ご夫婦らしい二人の乗る車が一台通った。何処から来たのだろう?。ゲート横の林道に入ると風が無い、風が無いと5度位の気温は温かい。

儲けたような心持ちで暗い登山道に入った。杉の人工林の中は暗いけれども歩き易く、踏み跡も確りしている。雨も落ちて来ないから、天候の回復がありそうなら、暫くはこの儘歩きたい。古い寺院の跡を示す標柱があった。この辺りは何処にでも寺跡がある。外界から消防のサイレンが聞こえて来た。トンネルの西側の方から聞こえるから、先週通り抜けた千種の集落に違いない。丁度、杉の林だけの展望が千種方面に開けた場所だ。

ここから、見上げても先の見えない急斜面になり、丁度良かった体温が上昇し始めた。高度が上がると松の林が綺麗で、松葉の林床は明るく清潔感がある。山を揺すぶる風の音も強くなった。時々パラパラ、林床まで雨粒が落ちてきた。少し平坦な道が続くと急勾配の斜面、概ねこのパターンの繰り返しだ。山頂を示す標柱があって、通過地点の細尾山、確かに尾根はそれ程太く無い。

高度差100メートル程を登って右に折れる。この辺りは松とミズナラ等が残って紅葉も綺麗、左の尾根は広く、散策なら断然こちらが良い。高度を稼ぐと雨が落ちてきた。登山道も濡れて滑りやすい、風に煽られて狭い尾根から落ちたくはない。前方の尾根の林は愈々暗くなった。濃いガスで視界も殆ど無い。木の実のまるで無い地表を見ると、恐らくこの辺りにクマは居ないだろう。しかし偶然通り掛かる事があったら一大事だ。クマ避けの笛を吹き鳴らして安全を図る、お互いの為。

標高1000を越える辺りで露岩が出て来た。残り少ない葉を見たところ恐らくブナだろうと思われる木が数本、それより遠くの様子は全く分からない。更に細くなった尾根の両側は殆ど崖に近い。こんなところでクマに出逢ったら恐ろしい、笛を吹くにも気合が入る。雨も落ちるし、葉の上の雫は一度に落ちて来る。その音が個体の様で、温度計を見ると零度。前方が明るくなり、飛び出したところが荒尾山ピークであった。

広からぬピークから望める筈の眺望はまるで無し、植松山方面の尾根には自然林が残っているようで、目の前の樹木に、色付いた葉が少しだけ残っていた。綺麗なブナ林があるという大甲山方面は数メートル先も不明瞭。雨とガスと大風の吹き荒れる零度の尾根は有難く無い、今日のところはここで終了。往路はよそ見をしながらの2時間であった、降りは恐らく1時間と少しで足りるだろう。お昼は温かい車で食べよう。



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