杉の伐採地を過ぎて5分、明るい無人の後山キャンプ場の駐車地に着いた。4張のテントサイト、トイレと炊事場、その他の飾り気はほとんど無い。無駄が無いから荒廃した様にも見えず、しかしトイレに明かりも窓も無いのはやや辛い。途中で道を譲って頂いた鳥取ナンバーの車が着いた。少しお話しすると、お互いこのコースは初めてであった。
雨あがりで暗い森、直ぐ上の辺りは霧で見えず、クマに注意、の大きな看板では意欲も失せる。少し下った谷川に沿う登山口で振り向くと、鳥取ナンバーのご夫婦も付いて来ている。先ずは整備された階段から始まり、直ぐに割れ石の多い途になった。低い気温に助けられ、後続もあるので休みは無い。しかし噴出する汗は如何ともし難く、轟々と鳴る水音の横でカッパを脱いだ。
ここまでほぼ直登に近い途が続き、そろそろトラバースでも、と思い出したところで右岸への渡渉、岩場を巻いて少し登ると左岸に戻り、やっと明るい山腹に出た。二次林ではあるが真っ直ぐに伸びるブナが主体の森が残っていた。嬉しさも束の間、直ぐに人工の暗い森に代わり、加えて、鐘の音と読経が聞こえて来た。近くに西の大峰などと云う行場があって、女人禁制の領域があった筈だが、今でも盛んな様子には驚いた。鐘の音の絶えない状況でもクマ被害はあるものだろうか?。
色彩の無い尾根に出ると、道幅は広く真っ直ぐに伸び、ガスの中に消えている。傾斜もそれなりにあり楽な道程では無い。道幅が広いのは山仕事用だと思うのだが、その様な作業の痕跡はまるで見なかった。ガスで視界の悪い今日の様な日は有り難かろう。しかしかなりキツイ。厳しい傾斜を越えると笹が出てきた。前方が明るくなると尾根に飛び出て、少し右に歩くと船木山の山標があった。
ガスで景観は全くなし、前回、千種から登った時も雨であった。尾根を後山に向かって東へ歩く。ただ移動するだけなら楽なものだが、降ったりするから後で登らないといけなくなる。踏み跡の無い尾根道で、前から来られた単独の登山者とであった。登り切った先に小さな祠が見えた、後山ピークだ。岡山県と兵庫県の県境で、岡山県方面に登山道は無いらしい。が、大きなブナなどがガスの中に見えるところは、原生林の雰囲気があった。
狭い、後山ピークでエネルギー補給、少しガスが晴れて来て、下界の様子が少しだけ分かるようになった。面白く無いピストンも、ルートが無ければ止む終えない。下りになって、鳥取のご夫婦が登ってこられた。続いて、船木山へ行かれた単独男性、賑やかな声を響かせ4人のパーティ、結構賑わっている。
斜度のキツイルートは下りも気を使う。いい加減な歩きかただと膝を痛める。そうでなくとも割れ石の多い途は膝に悪い。降りてきた頃には雨雲も去り、晴れ間も見えるような秋晴れに変わった。テントサイトには2張りのテント、先の4人組のものらしく、焼肉パーティの用意があった。 |