■ 播磨・ダルガ峰
・・・・2016年07月03日
2016.7.3

千種高原へは釣りを目的に何度か訪れた事があった。釣り目的であるから高原である必要は無く、安い宿泊施設があれば良かったので、近くの川の他まるで記憶に無かった。山を歩く様になって千種高原を改めて見ると、高原の周囲は1200〜1300の峰々が連なり、中々魅力的な処であるらしい。ところが今日は、山陰から中国山地の天気は芳しくない、山に近付くに伴い雨は落ちてきたし、山腹から上は、濃い霧か雲に飲み込まれ、どう見てもかなり強い雨の中らしいのだ。

そんな中でも、おじさんおばさん登山隊の気力を殺ぐことは出来ない、後山?の登山口に集う方々の顔は少年のそれと同じであった。此方はもっと高地から登るべく、千種高原の周辺をウロウロ、400程度の標高では、温かい雨で凶悪になった山ビルの餌食になってしまう恐れがあり、軟弱と云われようとも、山ビルのいない事、は外せない条件なのだ。

ウロウロする間に雨は小康、ガスは晴れ無いので展望はなかろう、何れまた雨も降り出す。立派な登山口の看板には、駒の尾山、と書いてあった。標高は800程、デンジャラスゾーンはクリアしている。登山道は暗い人工林の中に続き、古い道なのか、処により古色を帯びた積み石等が残っていた。もとより人工林で展望は殆どなく、更にガスが掛って林床は暗い。暗い林床とこの頃のニュース、熊の動向は大いに気に掛けて歩く必要がある。秋以外では滅多に着けない熊鈴を着けての歩き。

道の勾配は少なく、疲れの溜まらないような工夫のされた道だ。その分、尾根までの距離はやや長い。思い定め、尾根に出る決意を見せると笹が現れ、飛び出た処は大海理峠と云うらしい。勿論、尾根に出ても目の前はガス、丁寧に設置された案内標識が待っていた。尾根の道は太く、大峰を彷彿させるほど立派な道が続いている。左0.9キロ駒の尾山、右1.8キロダルガ峰。千種高原を回って周回コースとするならダルガ峰が良い。

再び落ちてきた雨はそれ程も強くない。ダルガ峰への登りコースで、モノクロの中に朱色のコスチュームが降ってきた。こんな中でも登山者はいるものだ、それも二人。よく見ると、他にも相応の踏み跡が確認できた。目の前のピークを過ぎると、広い平坦な道が続き、ただ周囲が全て植林なのは、如何にも惜しい。霧が晴れれば秀逸な展望も期待できよう、しかし全てが人工林の中では是非も無い。

僅かに残る灌木の中に、数えるばかりの白い花と蕾を沢山着けたナツツバキがあった。道は降り基調に代わり、登り返しを前に別れている。一方は千種高原、もう一方は大茅スキー場とあった。ではダルガ峰は何処に行ったか?、巻いてきたピークか?、と訝しく思っていたが、何の事は無い、千種高原方面に登ったピークがダルガ峰であった。ここからは高原らしい平坦な地形が凡そ1キロ、綺麗に整備された明るいがやはり人工林である。自然林として残していれば、芦生のように、今頃は自然観察の立派な公園になっていただだろう。

長い平坦な道の終わりはスキー場のリフト降り場であった。また降り出した雨の中、傘を片手に急な斜面を降り、害獣避けネットの前まで来ると、殺生にも、登山者はネットの周囲を降ってくれ、と書いてある。今はユリの展示で入場は有料である事は知っていたが、その脇辺りを抜けさせて貰えたら済む話だ。入場者も数名程度で邪魔でも無い。琵琶湖バレイは登山者を無料で降ろしてくれた。お陰で、足元の悪い濡れた草地を倍以上歩き、良い思い出の無い、駐車場に降りてきた。さて、最後に車まで約1キロ。


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