■ 丹波・トンガリ山
・・・・2016年02月21日
2016.2.21

四斗谷村、というらしいのだが、地名の由来となったのは、よもや石高であろうとは思われない。大きな池が多いのはこの辺りの特徴ではあるし、平地はわりと多いし古い家もかなり立派、故に石高以外の収穫物を現したものではないかと思う。

その四斗谷の北西に聳えるのがトンガリ山、確かに集落の上に僅かに覗く頂角は鋭い、が標高は600ばかりで、南に連なる西寺山を併せて歩きたい。西寺山の西には西光寺山などと紛らわしい名前の山がある。「光」を取っただけで、「光」が無い山域かとは流石に聞けないし、妙だなと思うだけで、薬師堂の前まで来た。目の前のお堂が薬師堂であるかどうだか判断出来る何も無い。ネットでは兎に角、薬師堂らしいのだ。

薬師堂の裏に山に続く道がある。これを登ると良く整備された路が続く。道脇に古くて大きい石塔等があるところを観ると、どうも参道と思われ、最後に小さいが立派な石段の上に、妙見宮跡、等と立札のある平坦地が現れた。移したのはそう古い事では無さそうで、薬師堂の裏の建屋がそうなら、今時の田舎事情を反映したものかと思われる。妙見信仰は仏教だから、廃仏毀釈の折に山深くに隠されたものかもしれない。そうなら元に復しただけの事だ。

踏み跡は妙見宮跡の裏に続き、直後には怪しい痕跡も、尾根に出ると明瞭になった。尾根を吹き抜ける風は冷たく、雪がチラチラ混じる。北の空は雪雲に覆われている。展望が良くなり、東側に白髪岳と松尾山が谷を跨いで居座っている。松尾山にも古い寺跡があったし、西光寺山もそうらしいし、そうした事は、反目を表すのか繁栄を表すのか、調べてみる必要がある。

テレビ塔のあるピークを過ぎると降り途、高々標高差400とは言いながら、折角稼いだ高度が勿体無い。暫く降り途が続いていよいよ本丸への登り、鋭角な山頂に相応しい露岩等も出てきた。山頂には古い、小さな祠が一つあった。眼下に谷間の集落等を一望に出来る展望の良いところだ、が雪混じりの風は強く、寒さを防ぐ衝立が無い。直ちに北側に降って南西尾根から西寺山を目指した。

南西尾根は始めはユックリした樹林の途が続くものの、斜度が出てくると西から吹く風が強くてやはり寒い。峠越えの古い路が交差するところから西寺山への登り返しが始まる。途と云っても踏み跡も疎ら、藪の続く厳しい斜度の尾根を登るのである。これを見て、次回でも良いかな、と考えたのは、けして弱気だけでは無い。怠惰な心持ちが無かったとは云わないが、山ほどは気儘でも良いのでは無いか。

旧道は峠下からほぼ全面毀損し、まず歩く人も無いだろう。もっとも、歩かれよう筈のない路のアチコチに、真新しいテープは付けられてはいた。谷心を降って道に出た。そこにはイノシシの飼育場があって、小さいのや大きいのが放し飼い、別に犬の小屋が2ヶ所あり、警戒か愛嬌か、良く吠える。檻の隙間を抜けて出てきたのは生後1ヶ月ばかりのヨチヨチ歩きの子犬であった。


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