前回、るり渓北側から登った折、良い感じの尾根が西に伸びていて、早速調べてみたところ、県立ささやまの森公園から西尾根伝いにルートがあった。標高も300程度で、深山なら500近い高度差、八幡谷ダムの最奥からのルートらしい。R173から旧道に入り、ダムの入口を探してウロウロ、見えてきたダム湖はこじんまりとして、ロックフィルだそうだから、見掛けより小さい。
最奥の施設前の駐車場の車の量を見て、まさか全てがハイクとも思えないし、施設の建屋は大きくは無く、人の姿も多くは無い。施設の右手の山腹には古道等が残っていて、しかし施設も見て見たいから、道の続く限りはこの道を最後まで詰めたい。谷川に沿って色々楽しそうな作りものが、色の失せた白く霜の降りた中で固まっていた。
道が尽きた処から西尾根に登って、と思っていたがそれ程やさしい斜度でも無く、谷沿いに登山道らしい案内もあるし、これを辿って、しかし途の何処にも踏み跡は無い。あるのは延々と続く、イノシシの不埒な悪行三昧だけである。石の多い、落葉の多い直線的に作られた途は、谷合の小尾根を縫って続いていた。
途中、源流域を遡上する場所では、古くは集落の草刈り場として人々が集った等と説明のある案内板があったり、夏ツバキ、殊更沙羅の木と表現されていた、が大事に保護されていたり、興味深く拝見させて頂き、最後に鞍部に登り詰めた処が庫坂峠で、南側に緩やかな森が広がる気持の良い処だ。
右手は施設の西尾根コースに続き、深山は左手の尾根を標高差残り150、30分とあった。葉を落した森に、差込む光は温かい。山腹が広くなっても直線的なコースが続く。登り詰めた尾根から左手は施設の東尾根コースらしい、これを降って周回する事にして、先ずは深山はと見ると、梢のずっと先のあたりに丸い突起が覗いていた。
ここからは斜度の殆ど無い樹林の回廊が続き、北側の眺望が良く、殊に今日は空気が澄んで、雪を戴いた武奈ヶ岳、蓬莱山が綺麗に見えた。相変わらず続くイノシシの狼藉跡を辿り、後退した笹とカヤトの深山ピークの下、これでピークは踏んだも同様なので、ここから東尾根に向かった。
東尾根にも踏み跡は殆ど見られない、おっちゃんおばちゃん登山隊がいないのが不思議なくらいで、ただ今は冬枯れの季節だから、幾らか値引きする必要はあるかもしれない。鉄塔まで降りると、施設の散策路と出逢った。太陽が西に傾くと同時に冷気が降りてくる季節だ。
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