R477がまた全面通行止め、通るなと言うから通りはしないが何の補修があるのだろう?、その様な告知は一切無い。ユーターンして八木町へ迂回すると結構な距離が出る、せめて原因及び期間くらいは分かり易い位置に表示して貰いたい。良く目立つのは、越畑の蕎麦屋さんへは迂回路で、というものだった。蕎麦屋さんの前を通りはしたが、お客さんの車は見当たらない。何時もの空き家の側の路肩に駐車、出てみると意外に寒い。
歩き出した冬枯れの集落のあちこちから声が聞こえる。今日はどうも人の気配が濃い、トラックのエンジン音がすると思ったら、狭い集落を抜ける道の事、ハイカーの通過まで、軒下で待って下さった。次に出くわしたのは、廃屋だと見ている家の片付けに勤しむお二人、こんな山間に京都訛りが響き渡る。その次の家は、、挙げると取り留めがないので、今日は大掃除の日でもあったのかな?。
そんな集落も抜けてしまえば俄に静寂に包まれる。畑の煙は真っ直ぐ立ち昇るほど風も無く、森と静まり返って音が無い。風の無い足見峠にごく弱い陽射しが漏れる。フユノハナワラビを探したが何処にも見えなかった。落葉を踏み分け明るくなった梢を見ると、枯れたミズナラに見覚えのあるシミが見えた。近くに寄って見ると間違いなくナメコ、若丹国境からはるばるこの辺りにも飛んできたらしい。そう云えば鈴鹿でもナメコは豊作とあった。ではあるが、憎いことに手の届くちょっと上ほどから出始めてずっと上まで続いている。
落葉を分ける音で振り向くと、中年ハイカーが降って来られた。こちらはキノコに興味無し。U字型の登山道は落葉に埋もれている。キノコを諦めて歩き出すと枝先に残るモミジ等は美しい。空気が冷たく澄んでいるので、色がより鮮やかに迫ってくる。たった数枚の葉を見詰める機会は他の季節ではない事だ。胸突き八丁をやっと越え、地蔵様にご挨拶、今日の西向地蔵さんは妙に連れないお顔に見えたのは、何だったんだろう?。
ピーク広場は賑やかだ、良い年のハイカーが4人集って四方山の山談義、と一人の方が訪ねてきた。これより峠まで道は良いか?、芦見谷を抜けようと思うが大丈夫か?、三頭山への道はあろうか?、へ?、横に逸れとる。聞かれるだけは答えたが、ややムラっけのある方々?。こちらは、前から気になっていた国土地理院のピーク直登コースを降って見る積りでいる。
よって、賑やかな談義もお終いにして、姿を消した急斜面の藪の中、踏み跡等はまるで無く、急傾斜の藪と防獣ネットと間伐材で荒れた林床があるだけだ。膝が痛くなり始めた頃、関電の鉄塔に着いた。しめた、巡視路がある!、と思ったのも束の間、一旦降るように見えた踏み跡は、次の鉄塔目指して登っている。降るとしたら、厳しい斜度の残る狭い谷底を行くしか無い。岩がゴロゴロ、間伐材がゴロゴロ、おまけに踏むと直ぐに崩れる嫌な谷、水が出てくると愈々歩き辛く、足元が不安定で汗はボロボロ零れる。やっとのこと苦境を抜け、人工物が見えた時はホッとした。
府道まで出ると、そんなこんなは無関係、相変わらず静かな山里であった。
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