ほんとうなら大峰に行くべきところ、お手頃の台高は高見山で妥協してしまった。標高差で云えばそれ程軟弱なコースとも云えないのだが、何れにせよ妥協の結果であることは否めない。11月も後半に入っての温さ、道中の落葉樹に残る葉は少ない。
平野の駐車地前を流れる川面の様子、色の無い流れの中に、アブラハヤが数匹、水の流れは絶えずして、夏の水に非ず、下山後に入るとしたら、断然お湯の方だ。歩き始めると同時に後続が続く。良く踏まれた道は階段から始まる。残る紅葉もごく稀で、全山ほぼ葉を落としたと思って良い。すると見えてくるのが放棄された間伐材、登山道のほかとても歩ける様ではなく、景観も損なう。どうにか良い知恵はないものか。
今日の歩みは軟弱等とは呼ばれないくらいのもので、近くに先行者でもいたなら証明出来ただろう。ところが、高見杉の前の谷川での僅かな休息の間に、後続のアベックに拔かれてしまった。ダブルストックの歩みはけして早くない。直ぐに追い掛けはしたが差が縮む様にも見えない。彼らは休息はおろか、立ち止まる様子も無く、急がず休まず、湯川秀樹の教訓に忠実であった。
小峠出合までに結構な汗、標高と同時に下がる筈の気温は、950でも13度もある。落葉樹だけとなったここからピークまで、陽射しの無い事を除けば遠望は非常に良い。しかし細い二次林ばかりが眼について、重厚感にかける。そこへ大岩・小岩の謂れを記した看板が良く目に留り、神代の時代の行軍の事らしいお話だが、この細い尾根に集うだけの軍隊とは、どれ程であった事か、想像に難くない。
ピーク手前のやはり謂れのある岩場から、東の方向を見ると、台高山脈に沿ってガスが迫っていた。ピークには先行者が10名ほど、小さな者も居て、和やかな雰囲気、しかし気温はガスの所為もあって4度しか無い、暫くすると、濡れた身体には応えてくる。先のカップルが入れ替わりに降って行った。須く急がず休まず。
昼食の間にも、大峠方面から、後続は途切れない。特に、賑やかな装いのおばあちゃん3人組は印象に残る。大峠からの下山は諦めよう、奈良県側の崩壊地周辺は立入り禁止らしい。そのせいか、登りで出会った男性が登り返して来た。小峠まで降っての事なら400のアルバイト、大規模な山抜けは、旧道ルートおも飲み込んだものと思われる。ピークから少し降ると暑くなった、気温は10度。
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