■ 北摂・剣尾山
・・・・2015年11月15日
2015.11.15

先週に続き雨、世間では色付く山々の噂が絶えない。そうしている間に紅葉は終わり、初冬の厳しい寒気が、と思っているところへ何とも暖かな空気が流れ込み、裸の枝先の冬芽に膨らみ始めたものもある。

野外活動センター入口に車を止める頃には雨もあがり、陽射しさえ漏れてくる。あたりの木々に未だ葉が残り、草モミジと併せて陽に照らされた様子はとても静かで温かい。濡れた古道の上の松の葉のお陰で谷底も明るく、生気の失せた森の中でも寂しく無い。尾根が近付くと山鳴りと同時に強い風が抜ける。鳩ほどの鳥が、何を思うか、目の前の枝先にとまっては飛び去って行く。

尾根に出て暫く歩くと七号目の看板があった。とても健脚の歩きとは云え無くとも、もう七号目は何としても早すぎる。見上げた空には真っ白な雲と真っ青な空、峠を過ぎると風も止み、西に開けた苔生す岩の上で一休み、背後の月峰寺の遺構には人臭さがあった。

このあたりの遺構については未調査で、目の前のものは参詣する庶民を対象としたものと判断した。短い階段を登っても、岩を削った小さな水場と木製の灯籠などを刺したろう穴を穿った岩があるのみだ。登山道に戻り、山頂方面からの声を聞いて人の居る事に気付いた。一段低い平坦部を登ると立派な道と伽藍跡の広がる剣尾山、陽のあたる明るい本堂跡ではカラフルなお若い団体さんが昼食中、古い井戸は雨水を集めて満杯で、側の秋グミの木に実はひとつも無い。

ピークの芝は既に乾き、敷物でもすれば気持ちの良い午睡も出来そうな陽気、大石の前ではしゃぐ20人程の団体さん、木製の椅子に陣取って見るとも無く聞くとも無く、齢の程はてんでバラバラだが、話す様子は一様に若やいで、なるほど山ほどはかく有りたいもの。皆さんが去り、濡れて滑る周回を諦めピストンを決め立ち上がったところへ雨が来た。

雨脚は強くなり風も起こり、ところが陽は射して温かい。本堂跡の団体さんは動じ無い。下りの尾根で、古道を離れた尾根心に、人工的な、岩で装飾を施した恐らく水場、を発見した。本堂側の井戸跡に似て、数百年前の参拝者の水場に用いられたものか、今でも水は流れている。




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