■ 京都西山・地蔵山
・・・・2009年07月25日
2009.7.27

地蔵山の7合目あたりから愛宕山への尾根は、すっぽり雲の中である。早朝には降雨もあったようで、ここまでの路面で乾いたところは皆無であった。しとしと降る雨は止む終えない。どしどし降る雨は有り難くない。天も割れよと伴奏つきで降る雨は、桑原桑原、尻尾を巻いて直ちに逃げ帰ろうと思っている。

越畑集落は平和である。畑には、何の花かも分からない黄色い花が一面に咲き、大根の葉も見えはするので、黄色い花が栽培されているようにも思えない、見たこともない栽培法である。雲は西から北に向かって結構早い、地上には微風もない静かなものであった。畑の上の電線で、ホオジロが一人囀るものの、聞かせる他の固体の影がどこにも見えない。暢気である。

集落の細い路地から、芦見川から尾根を越えて長々続く用水路に沿い、植林の中に入った。濡れて暗い針葉樹の中では、吸血鬼ヤマビルへの畏れから、防衛姿勢が自ずと行動を促進する。暫く歩いて無用の反応であることを悟るのであるが、姿が無いので愈々恐れが蓄積されるのを如何することも出来ないのである。

芦見峠までの最大斜面を過ぎる頃に雨が落ちてきた。小降りならこのままと思う間に本格的な降りに変わった。峠で雨宿りをと思うのだが、松が主体の林には、雨宿りの資質がまるで無い。騒音を伴わない無いので、余裕の心持にはこれが大いに不満である。だいたい針葉樹林を必要以上に多くして、何の益が在ると考えたのか。益と同時に不利益の計算はまるで無いのか。

などと不満を抱えている間にも、雨粒は大きくかつ激しく落ちる。カッパを着込み、地蔵山まではと登山道を歩くのだが、道は川のようになり、大いに泥濘、歩き辛い。これも針葉樹の葉が堆積した結果であると思うと情けない。スキー場跡の小屋まで残り少しの辺りで、さらに勢いを増した雨が来た。東の遠くで地響きの如き伴奏がきた。距離は殆ど関係なく、次には真上で鳴らんとも限らん。

方向を転じて今日はここまでとする。登山道にも新たな流れ、量を増した更に勢いの強い流れが、下に向かって進んでいる。峠は既に水浸し、溜まった水は、新たな流れを加えて越畑集落へと押し寄せる。アリの目にはこのように見えたに違いない。流れの先は、芦見川−越畑用水で谷に姿を消していた。雨脚もなんだか弱くなり、里が近くなると何でもなかったように平穏無事であった。

汗と雨でずぶ濡れの身体は、エアコンをかけるとそれは寒い。フロントガラスが見えなくなるとエアコンを入れ、雨脚が強くなると窓を閉めてエアコンを入れ、その度に唇を紫に変色させて震えていたのである。地蔵山の地蔵さんは笑って御座るかの・・。



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