世間は連休と云うことで、何処もかしこも人で溢れ、自然文化村等の樹林の下は、テーブルを囲む親子連れで立錐の余地も無い。青空主体の空は、中央分水嶺が近付くに連れ、どんより、黒雲が主体に変わって来て、風もまた冷たく、恰も初冬の天候を思わせる。
とわいえ、稲刈りの進む田園風景は続いているので、近頃としては、早すぎる秋の到来、若しくは夏日の終焉を歓迎するものに変わりは無い。いつの間にか消えた、ビレッジラインの看板、五波谷林道は通行の保証の出来ない道に成ったらしい。車の轍の跡も随分少ない。
染ヶ谷の旅行村へ抜ける車はこの道を通行しない、専ら八ヶ峰登山の車だけが通行するのみとなった。そんな五波峠には先行車が一台のみ、他の賑わいを思うと些か寂しいほど。八ヶ峰へ行かれたか中山谷山へ行かれたか?、特定は難しいが、八ヶ峰への登山道に残る靴跡。
歩き出すと可成り強い冷たい風が抜ける。遠くに見える日本海辺りは晴れて明るい、暗いのはこの辺りだけだ。暗い林床に色鮮やかなキノコが多い、雨と低い気温は彼らの望むところ、であれば、マイ✖✖なんかも出てるかも?。ここには原生林が残っている。
このコースを八ヶ峰まで歩いた事は嘗て無い、周辺の尾根や谷は相当に歩いたが、ピークには今日が初めてになる。変哲の無い尾根歩きだが原生林は見事で、ブナの大木の下は趣きがある。ミズナラは例に漏れずナラ枯れにやられ、しかしその後にキノコがある、かも。
わくわくしながら覗き込む立ち枯れたミズナラの背後、そう旨く行く訳は無いわなあ。尾根側を離れるとキツい斜度の谷があって、捜索の範囲もそう広く無い。綺麗なムラサキアブラシメジは多かった、がこれは食べないのだ。
風の冷たい暗い尾根に、アサギマダラがフワフワ、彼らが未だ旅支度をしないところを観ると、これから暑くなるのかな?、。例年なら10月も半ばが渡の季節だ。綺麗な森も、二次林が主体になると捜索は終わり、思いの外アップダウンのキツイ尾根を真面目に歩き、右下に染ガ谷へのルートを見て、急斜面を乗り越えると、や〜前方が賑やかだ。
降って来られたのは平均年齢も六十代後半?、だとお見受けする男女交々5名のハイカー、あと少しですよ、などと優しい言葉を戴いた。そんなに参ってるように見えたかな〜。樹林のトンネルを抜けると、中央に松のターフが有難い八ヶ峰ピーク、遂に五波峠コースを完遂した。
雲の割には遠望があり、小浜湾を見ながら昼食、しかしやはり防寒に一枚重ねて丁度よい。見渡せば、この辺りの上空のみに雲があって、ウネウネと下降する林道の上は青空で陽射しがあった。今日はヤマカガシの幼蛇を多く見た、加えて、極極小さなカナヘビが足元に居て、山アリ等に攻撃されても勝てそうにも無く、手のひらに載せると、温かいのか小さな目を閉じる。
何時までもそうする訳にもいかないので、勝手ながら、風の少ない南側の斜面に降りて貰った。上空には、小さいタカの仲間が飛翔していた。寧ろヤマカガシのチビには剣呑だろう。
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