■ 北摂・半国山
・・・・2015年07月12日
2015.7.12

成長した稲の穂を揺るがす風、何処かから聞こえるニイニイゼミの声、アブラゼミの声も交じって、降る様な蝉の声とまでは形容できないまでも、そろそろ夏の始まり、梅雨の終わりと云っても良いのでは無いか。それにしても陽射しの中は、嫌になるほど暑く、気怠い程だ。

気温は既に30度を超え、湿度は相当にたかく、滲む汗は拭いても乾く気配は無い。参道は基本木陰だから幾分凌ぎやすい。風は抜けても、皮膚全体に纏わり付く汗は、皮膚感覚の全てを覆い、スチームの中を辿るのと似ている。水草の繁茂する池の上層を悠然と泳ぐ鯉、小さな個体は群れて水草の根本あたりにある。彼らの池には、冷たい谷水が注ぎ込み、ここで幾分温まって本流に注ぐ。

湖面を飛ぶショウジョウトンボ、陽ざかりの枯れ枝に泊まった個体を撮影する僅かの間に、滲み出た汗は如何程であったか、トンボには分かるまい。同類とのテリトリー争い、種の保存で忙しい彼らに、立ち止まる人族等は無に等しいのだ。

参道に戻り、標高350位でちょっと湿度が低くなった様に思われる。参道表面が乾いているのはその証左である。これまでの道は、雨も降らないのに僅かに濡れていて、早朝の露は蒸発出来ていない。道路脇の小さな流れで手と顔を洗った。直ぐ先で露出した水は冷たく、勿体無くもそのまま谷川に注いでいる。

汗は洗い流したその後から滲み出て、歩みは愈々緩慢だ。登山口前の赤い車、用意の最中に登って行った1台であった。お爺さんらしいドライバーであったが、今日の様な日に登山とは、呆れる程逞しい。樹林に踏み込んで尾根を目指す間、残念な事に、そよ風も無くなった。

尾根に乗ると風程は回復したが肝心の気温が高めで、木漏れ陽が多かった。半国山北東尾根に乗ったところで小休止、外界の様子が聞こえて来た。サイレンを鳴らしながら、止まれ〜、路肩に止めなさい!、あ〜スピード違反を取られよった、運の無い人だな。

その後もあったかどうか、懸命に歩いているので分かりかねる。やっと頂上直下の平坦地に到着、オヤツと冷たいお茶で大休止。側を、小さなお爺さんと小さなお婆さんが降って行かれる。あの身体で今日のコンディションは応えたろう、それにしても小さいカップルであった。今日の出会いはこのお二人だけ、路傍に咲いたピンクのカタバミは美しく、あぜ道に、黄色いノカンゾウが咲いていた。



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