■ 比良・明王院〜武奈ヶ岳
・・・・2015年06月28日
2015.6.28

天気予報では、梅雨の谷間の好天、等と記憶している。直前のラジオでも、京都の一時雨を除けば晴れ等と云っていた。がしかし、少年自然の家の駐車場に出来た水溜りの波紋は止むこと無く、地に落ちた羽化したばかりのカゲロウを捕食するツバメの他に、能動的な光景は無い。

すぐ後ろの車のシートに寝る男性、公民館の庇を借りて雨宿りの山ガール、厚い雲に覆われた空から無情の雨は止むことなく、僅かの間に止むとは凡そ考えられない。と、川向のバス停に着いたバスから二十名程のハイカーが到着、これを機に、今日は雨中のハイクと諦めて、明王院裏の登山口へ移動した。

後に続くハイカーはあっても、見上げる杉の斜面のどこにも人影は無い。先の方々は知らず、この集団では先頭を行く。競争は望むところでは無い、休まずに登るとしよう。気温は低く風は強い、がカッパを着込むとこれが暑い。後続の手強そうな男性が数人、大きな声も出て山慣れた様子。大峰の山なぞを話題にするところが憎い。

杉とは云え樹林の中ではカッパは無くとも、登山道の片隅で仕舞い込む横を、抜けた途端に我も我もとカッパを脱ぎ始めた。僅かの間だけ先行されたが、終わって見れば元の通り。少しく開いた距離は再び縮まり、拔かれた先の緩斜面で小休止らしい。よってこれで元に復して、急勾配手前の小ピークで、倒木に腰掛け一休み、する間にももっと後続の方々が到着し、お若い女性などはマラソンをやるらしい。

お先に腰を挙げてつづら折れの泥濘の途、ちょうど折れるあたりのミズナラの枯れ木に、一際明瞭な白っぽいキノコの群落、枯れ木に咲いた花の様ではあったが、季節外れのキノコの害毒は、杉ヒラタケで良く分かっている。如何にナメコとはいえ食欲の対象では無い。

登りきった尾根から覗く登山道に、後続の姿を認めない。雨に煙る、気温の低い林の中の事だから、異例の事ではあるだろうが、何はともあれ1番であった。夏道に従って山腹を巻き、口の深谷に悄然と響くアカショウビン・コマドリ、良い雰囲気の樹林が続く落葉樹の斜面、途を流れる雨脚は強まり、下山途中のご夫婦の足元は心細い。再び着たカッパは5度程度の気温と強風の中では、一転体温の確保が主目的。

御殿山を降り、ホワイトアウトの西南稜を歩く頃には貯まる乳酸で脚が重い。降って来られたおじいちゃん、釈迦岳を通って武奈岳へ来られたよし、ワサビ峠中峠を経て正面谷に周るのだ、逞しい。西南稜の花は殆ど花期を終え、ベニドウダンは影も無い、雨の季節の小アジサイだけに精彩があった。

無人に観えた武奈ヶ岳ピーク、流石にそんな訳は無いので、西からの風を避けた北側に弁当を開くハイカー数名、南側に少し下って雨風を凌ぎ、かじかむ手でオニギリを食べた頃、やっと後続の方々も見え出した。しかし冷える身体に長居は禁物、手の感覚は全く無い。

来た途を忠実にピストンし、唯一、御殿山の下りでは冬道を歩いた、が捜し物は見付からない。この辺りで、最後尾の方が御殿山を目指しておられる姿が林の彼方にぼんやり見えた。雨の斜面の降りは膝に堪える。

14時には車に戻り、隣の方から熊情報を得た。曰く、近くの谷で親子熊に遭遇、親熊は非常に大きかったと云う。最近、ハイカーと熊との事故を良く聞く。今日は暗い、ガスも立ち籠める雨であったから遭遇は予見出来る、人の立入るそんな近くに親子で居ることは、今後の事故を予見させる。


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