■ 比良・小女郎谷〜小女郎池
・・・・2009年01月17日
2009.1.19

琵琶湖バレイの前から国道に沿って少し西に歩くと蓬莱山への登山口がある。湖西道路を跨いで小女郎谷入り口に入るとあたりは白一色に染まり、凍りついた坂道は良く滑る。最後の建物を過ぎるとタイヤの跡も消え、真っ白な雪道と杉林のトンネルを歩く。

夏場は暗いこの谷も、積雪のある冬場は明るい。どうやら先行者が一人、杉林の途中からスノーシューに履き替えたらしい。雪はまだ膝下程度でツボ足の方が歩き易い。杉林が切れ、暫く谷川に沿って歩くところで先行者に追いついた。顔全体から汗が噴出し背中からは湯気が立ち上り、既に登ってきたような格好である。かしわ餅の5〜6個入ったパックを片手に、一方では鼻先から落ちる汗の塩味の利いた柏餅。

あまり人には見せられた格好ではない。このさき期待出来る戦闘員ではなさそうである。挨拶を交わし、堰堤を越えると積雪 深は膝の上まで達する。暫くツボ足で歩いたあと、流石に疲れてワカンを装着。先ほどのおっちゃは姿も見えないし、先頭を行くしかない。時々谷川に出ながら、杉の林の中を歩いた。

湿った雪がワカンに付着する。谷川を越えたあたりから積雪は更に増えた。ふと見た雪面に、杉の葉切れの中にうごめく虫がいる。よく見ると丸々と太ったマダニである。あ〜いやだいやだ。杉の林はここで終わり、あとは薄い落葉樹の林が続く。低木は雪の下に埋もれて見えない。ここで行動食を少し。疲労がかなり溜まってきた。しかしおっちゃんの姿はずっと後方からぼちぼち近づくだけ、前に出そうな気配は微塵もない。

谷が狭まり、谷川を越えて急斜面を登るようになると限界に近い疲れが溜まってきた。声が聞こえ振り向くと、そこに若そうな男性が立っている。おっちゃんには期待しないけれでも、やっと援軍がきた。はやくこいよ〜

しかし援軍はなかなか傍まで来てくれない。トラロープの張られた崩壊地は、どうせ転んでも雪の上だし、適当に進みながら、 注意は後方にある。やっと着た男性は、まずまず若そうだし気力もありそうで先頭をチェンジ。ところがこれが、なかなか前に進めない。ワカンで雪の断面を撫でては足踏みが続く。汗まみれの身体がそろそろ冷えてきた。

期待したほどは進めないのでやっぱり先頭をチェンジ、後方に移ると声は出る。谷芯まで進み、真っ直ぐに峠を目指して足を振り上げる。雪が深く、膝で固めてからあとでなければワカンが乗らない。愈々疲れる。最後の力を振り絞って兎に角100m、終にエネルギーが切れてしまった。スノーシューのおっちゃんは「年相応に待ってます」やと。

多少若そうな男性に先頭を換わってもらい、見上げると峠はすぐ目の前にある。もともと厳しい地形に加え、雪庇が出来て見上げるような砦に換わっていた。京都のおっちゃんは、どこかでビールを飲むそうで、砦の直登を諦め、右の藪を元気に登っていく。多少若い男性は左側に巻くように見える。それなら直登してやろうと、ワカンの爪も中々入らない凍りついた斜面を横向きにやっと小女郎峠。

上からは今まさに下ろうと云う3人組。峠から見降ろす琵琶湖は平和であった。完全に凍りつき、雪面に変わった小女郎池でラーメンを食べ、時計を見ると15時前。比良山地の上空を冷たい風が抜ける。そろそろ下る時間である。


CGI-design