噂には聞いてもいたが想像を遥かに超える車と人、朝7時過ぎで既定の駐車場は満杯で、8時30分等はとんでもない朝寝坊。色鮮やかな山装束の方々の流れは絶えず、谷の奥には無際限の領域でもあるらしく、ロープウェイに飲み込まれる人波もまた凄い。
喧騒に包まれたロープウェイの駅の外にも漏れなく陽射しが差し込み始め、忽ち気温は20度近く、1枚ぬいだらちょうど良い。8時に少しく掛かった頃に、やっと現れた待ち人一人、賑やかさはさながら祭りの最高潮、OさんIさん揃ったところでいざ出陣だ。
親指が痛いと云うOさんだが、いきなり厳しい斜面に取り付く。Iさんは小兵で軽々とこれに従い、先行する婦女子の隊列に肉薄する事数メートル、え〜これは早すぎるでしょ〜。心の臓は忽ちにして警戒値を越え、Oさん、休みましょう!。幸いにして細い道は一筋で、先行する婦女子も一息入れた。やれ有難い!、Oさんも止まる、Iさんも止まる、このまま行くと生命が危うい、Oさんゆっくり行きましょう!。
どうやらOさんの勢いもこれまでのようで、黒ぐろと土色を見せる登山道に腰掛けて、この後の歩みはまず負ける事は無い、やれ助かった。かたや小兵のIさんの勢いはやまず、途中からはどんどん先へ行って、遂に姿さえ視界から消えた。目の前・後続にうら若い山ガ等がチラチラして、よく見なければ全て良し。
先行するIさんは要所で待っていてくれて、汗なども不思議に多く無い。ようよう斜度も緩む尾根に出て、萌え出たばかりの黄緑の風が心地よくぬける。ここに至ってOさんの歩みは決定的に緩くなる。そんなら植物の勉強でもしましょうか、あれがリョウブでこれがナツツバキ、彼方の薄赤い花の名はヤマツツジ。
山頂が近づくに伴い、確かにツツジ科の花は多くなった。それと同時にダイトレを行く怪物トレラン。ロープウェイの駅を過ぎるとまたまた寄せる人の波、よもやここが山の上とは、お釈迦様でもビックリ為されたろう。広い山頂には未だ余地があって、目の前に展がる金剛山の質感、けだし、近くで見るより良いだろう、山肌は植林で覆われている。
山頂南側に居を構え、ビール片手にOさん持参の柿の葉すしを食べた、しかし未だ、一目100万本のツツジは無い。Iさんのご家族の写真は拝見したが、美貌の奥様はやや成長されたらしい。そんな訳で、食後は是非とも百万本、バラにはあらずツツジを見に行こう。風呂もある、宴会場もある羨ましいヒュッテの横から、見下ろした山腹一杯に広がるヤマツツジの波、だけど多少色褪せ始めたところは否め無い。むしろ周辺に群がる人の波こそ一見に値するかも。(写真はOさん提供)
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