■ 鈴鹿・仙ガ岳 南尾根〜白谷
・・・・2015年05月10日
2015.5.10

世は茶摘みの季節、風薫る皐月に入って今日が一番気持の良い風が吹く。それはまた農家も同様なので、茶摘みのトラックが登っていくのは当然の光景、そこへ乗用車を入れるのは憚られるから、長い林道を更に延長してテクテク。

先行する親子の野外学習を聞きながら、彼らは兎に角身が軽い、その植物の名はあのね!、思わず後ろから声が出そうだ。堰堤の上には車は3台、おや、今日の仙ヶ岳は静かだな。車両通行止めのロープは無くても、すぐ先では道上が崩壊、巨石に埋まる道は人でさえやっとだ。

林道終点で小休止、一服点けて、足元等を念入りにチェック、何しろ、季節が進めば一歩踏込むだけで血だるまになるところ、一歩も入らなくても、首筋を食われた記憶が鮮明に残る。南尾根コースに残る足跡は2つ程、小さな流れに沿った途は徐々に斜度を増す。

土や枯葉の上で立ち止まるとヤマビルの餌食にならないとも限らない、立ち止まるところは岩の上、止まらないのが一番良い。良いのは分かっているが、心臓が休む休むといっては宥める術が無いのでちょっとだけ休む。これとても、ヒルの上にマムシの心配が必要なのだ。過去、同じ時期に数匹は確認した記憶がある。

と云うと、如何にも恐ろしい処の様に思われてしまうだろうが、事実は更に、尾根の近づく辺は、破岩ゴロゴロの上、過酷な斜度があって、途等は無いのと変わらない。最近はそれでも、トラロープ等のお助けグッズが登場するも、踏み跡とは大きくずれる処もある。兎に角、尾根に乗るのが肝要。

カケスがギャーギャー、小馬鹿にしたように鳴き、お返しに、鳥笛を思っきり鳴らして、やっと尾根に到着した。右手の岩尾根の不動明王の祠、今日は無人で初めてお目に掛かる。3人も居れば尾根は満員御礼の広さ。写真に納めて引返し、さあ5メートル程の岩場を登ろう、ロープはあるけれども根っ子の方が有難いが、あれ?、無いね。

崖を登ると不動明王の祠はずっと眼下になる、新緑の先に高速道路、更に向こうに伊勢平野の広がる絶景だ。岩尾根の彼方此方に咲く小ぶりのイワカガミ、小さな花弁が砂の上に散り始めている。岩の細尾根を幾つか越え、最後は岩の間の細い溝を攀じ登って、ふと見えた仙の岩の上あたり、真っ赤な服も鮮やかな、おばちゃんの立ち姿が印象的であった。

実は先ほどから、600ccの空のペットボトルをザックに挿して、喉が乾いて水が欲しい。序でを云えば、冷えたゼリーが食べたいのだ、降りてコンビニに駆け込む事ばかりを考えている。しかし先ずは水だろう、白谷には湧水がある、目指せ湧水!、であるから、車の数より多いハイカーに驚きつつ、さっさと白谷に降ったのである。

ところがである、谷の渓相は大いに変わり、湧水どころか、見覚えの景色は何処にも無い、清冽な流れを前にして、この悔しさは如何程であっただろう!、湧水の流れ込むと思しきあたりの水を一掬、自制の鍵が、音を立てて壊れて行った。まあ良いか、エキノコックスがある訳でもないわい!。

こうした経緯で、谷の水、湧水の流れるあたりの水をたらふく飲んだ。けどま〜今のところは下痢も無い。


CGI-design