■ 京都西山・三頭山〜星峠
・・・・2015年03月22日
2015.3.22

温かさは、当然の様に春らしい光景を求める行動に駆り立て、出来れば寒々しい杉の林を避けた、陽射しの溢れる道筋を歩きたい。小学校の裏には神社に通じる道があって、その先には最近出来た作業道が山裾を縫って、芦見峠への登山道に通じていることを前回知った。この道なら明るい。

無人の神社を過ぎるとバラスを敷いた白い道が続き、未だ花の写真も残る桜の苗木が沿道に配された道である。鹿避けのネットを抜けると集落は直ぐ下になった。集落の石垣のある小径も魅力的ではあったが、試みはこうしたものだろうか。やはり出口の鹿避けネットを抜け、しかし此方は太い丸太を包んだネットで非常に重かった、開けっ放しの鉄の格子戸を抜け峠道に出た。開け放たれたドアと車の轍から想定出来る事象は唯ひとつ、登山道の補修かな?。

車は無いが何と、すっかり放棄されたとばかり思っていた崩壊地の補修が進んでいたのだ。補修は成っていないのだが、ひとまず前後の脈絡ばかりは回復した形にはなった。芦見疎水は盛んな音を立て流れている。峠までの道程、倒木や枯木の落下による道の荒廃も一層進んだ様であるが、疎水の持つ重要性を考えれば、此れも何れ整備されよう。

峠までの道程で、いつもの様に大汗をかいた。陽の当たる倒木の上で暫しの休息、拔ける風も温かい。芦見林道から竜の小屋を経て愛宕山周回コースを予定していたが、折角の陽射しだ、今日は三頭山から星峠を経ての周回コースに変更しよう、星峠等と魅力的な地も、15年も昔の事で既に記憶には無い。今でも確り残る、荒れたユリ道を歩くと姿の見えない鳥の声が喧しい。春の訪れにキャーキャー浮かれ騒いで居るようにも聞こえる。ヤマガラ、コガラ等は姿も見えるしとんでもない浮かれ方でも無い。

鉄塔の下辺りのワラビの地面は概ね全域が耕され、後は芽吹きを待つばかり、こうした無私の労働を快く引き受けるのは猪の他にある筈も無く、頭の下がるばかりだ。

星峠へのルートを左に見て、三頭山ピークへ向かう。切り口も真新しい馬酔木の枝などが登山道に残され、整備を買って出た、これは人に違いない。少し歩くとピークの三角点に着いた。此処で暫く休息を入れ、地蔵山や北側の山を仰ぎ見る、何分三頭山は低いのである。温かさに浮かれ出たのは鳥のほかテングチョウも同じである。明日からは寒い日が3日ばかりは続くと云うが大丈夫かな。

チョウの群れ飛ぶピークを後にして星峠へ、既に完全に道型を残さないルートを、踏み跡とテープを頼りに降りが続く。道型が残る辺りは必ずと云っていい程複数の岐路があった。就中、立派な途を選んで間違いは無かった、過去の記憶はほぼ無しに等しく、ヤブっぽい途しか記憶に無い。15年も経てば木は育つ。

バイクの爆音が響く様になり、飛び出した林道の片隅に、星峠の立派な碑があった。やはり、遠くにあるものほど光彩を放つ例えは蓋し正しい。集落を見下ろす林道のトボトボ歩き、いい加減歩いた辺りで集落に降りた。遠くへ降りると帰りが辛い。細い流れに沿ってこれまた細い道を降ると何とか立派な道に出て、更に下方に国道が見えている。と、目の前に立派な雉の雄と2羽の雛がいるのだ。雄の子守は見た事も無く、3月の子育てもまた初めて目撃した、と思った。

雄は最後尾で警戒を怠らない、雛は先に居て道の餌を啄んでいる。ユックリ近付くと雄は忽ち畦道の上に逃れこちらを覗う、雛は右手の草生す家の跡に逃げ込み姿を隠した。後で写真を見ると雛ではなくて雌鳥であった。するとあの雄は、雉の中の、イケメンであって、雌を守るとも取れる様子には、鳥ながら感心と云うほかは無い。



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