■ 比良・葛川峠〜荒川峠
・・・・2009年07月05日
2009.7.6

遠来の登山者で賑わっているだろう大峰をよそに、殆ど人の歩かない比良は荒川から峠越えをしよう、と踏み込んだ大谷川源流域。人は居ない筈であったのだが、登山道までに既に二人に会った。狭いが立派な古道を利用した登山道は、昨今の登山者の増加を示し、随分補修の手も加わっている。ガスの中で視界が悪く、照葉樹が多くて暗い。

気温が高く湿度の高いこんな日はヤマビルが怖い。足元に注意を払いつつ、荒川峠と葛川峠の出会いを過ぎ、殆ど水平に続く葛川峠へのルートを進む。ここもまた随分手入れがされ、踏み跡も多くなって、往時の姿、とは云えないまでも、どうやら峠までは難なく歩けるくらいには整備がされている。牛までも一緒に行き来したという古道は、ところどころに嘗ての姿を彷彿させはするが、侵食の進む両側の谷の崩壊で満足なところは僅かである。

暫く右岸を歩くと谷底に下降、以前のように地図を見ながら登る必要も無く、足跡を見ながら兎に角、谷を詰めればよい。谷川の中で、あたりはガスときたら湿度が凄い。既にヒル対策区域を越えているので此方は問題がないのだが、兎に角暑い。

気温よりも風がないのが応える。ほとんど直登に近い岩場を見上げると、ずっと先に峠の林を抜けて空が見える。涼しげなヤマアジサイの色合いは、寧ろ、数段冴えて見える。伏流水の音も完全になくなる辺りで琵琶湖が見え始めた。風も出始め、薄い日差しも射すようになった。峠について一息入れる間には、体が冷えて肌寒くなる。鈴の音が響いて二人の登山者が現れた。次は比良岳が待っている。次にはその比良岳方面から二人。大きなザックからみて昨日はテント泊だろう。

暫く峠で休むようである。この間に烏谷山を目指す。縦走路は深く抉れて歩き辛い。烏谷山直下の岩のテラスからの眺望は素晴らしい。北の白滝山から蓬莱山、比良岳から打見山、そして南の琵琶湖へ下る瑞々しい山々。ぼーとしていると、下の方から賑やかな声が聞こえる。姿は見えねどおばちゃん二人、おっちゃん一人とみた。ナツツバキの話をしている。

なるほど忘れていたナツツバキは今が見頃である。縦走路のいたるところに落花がある。茂る葉叢を透して開花を見るのは難しい。落花で花を知る風情のある花である。烏谷山ピークを過ぎると直に荒川峠である。これ以上進むと帰りが困難になる。ゆっくり下山を開始し、一時間ほど杉の林を歩くとやがて朝の出会いとなり、登山道を抜けると日差しが厳しい。



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