初冬の寒さも今日は一段落、陽射しの中ではとても温かい。越畑へ通じる国道は相変わらずの不通、何時になったら毀損部の改修が完了するのやら、もっとも、改修が成ったとしても、狭小な道が広くなる筈も無く、遠回りでも、見通しの良い迂回ルートは魅力的ではある。
標高の低い辺りの紅葉は今が盛りと見え、赤や黄色に色付いた山は一年で最も明るい。余分な葉を落として、林床を染める堆く積もった落ち葉の色彩がそうした光景を演出するので、木に残る葉は実は少ない。
越畑の駐車地に来ると、路肩に駐車車両が多くて停められない。何事?、と見ると、収穫祭の様な事をやっているらしい。途中の沿道でもそんな光景を見た。そう云う事であるなら今日は実に誂えた様な日だ。風も無く、穏やかに晴れ渡った集落の彼方此方に立つ柿の木の、黄色い実の色こそは実りの色とも見えるだろう。
惜しむらくは、人の食わぬ柿の実であれば、その幾らかを、飢える山の住人達にも分け与えよ、と思うのである。実を結ぶ山は少なく、その山に今年は実が無い。少し前に、熊の出没があったらしいのも近くであった。
小さな小学校の校庭に、子供の姿があった。廃屋を再利用した?家では、陶器の展示会もあるようだった。すべからく実りの色だ。山道に入ると木の葉はもう幾らも残ってはいない。温かい落ち葉は登山道に堆く積もり、陽光を集めて木の根を温めている。よく出来たシステムである。
芦見峠で一休み、気温は5度でも額から溢れる汗、陽だまりに腰掛けて一枚脱ごうか。まだ瑞々しいイワヒメワラビは今月一杯は持つだろう。北側の尾根には陽射しが無い、が落ち葉のお陰でそれ程も暗くは無い。その落ち葉の溝を掘り返すものは猪に違いない。かくも長い道程を掘り返して歩くのだから、さぞや疲れた事だろう。してその成果は如何ばかりであったことか。
斜度が増した落ち葉の道は、実に登りにくいのである。葉は滑るし、隠れて見えぬ枯れ枝も滑る。息も絶え絶えで漸く馬酔木の林に到達した。嘆かわしい体力だ。馬酔木の林を抜けた先に京都市が広がり、山脈一つ越えた先にも町がある。山の上には人工物が聳え、あの山は比叡山であるから、その先の町は大津である。しかしカメラには映らないだろうな。
剽軽な西向地蔵様に軽く挨拶をして暫く小休止、辺りは小さいながらも馬酔木の林になった。無人のピークを過ぎた頃から随分温かくなった。南向きの斜面には陽射しがあって、気温は12度もある。北側では一度も見なかった真っ赤な実を着けたガマズミ。やや酸っぱい実だが鳥の餌だ。
足跡は相当数あったようだが、遂に人っ子一人出会わないままジープ道に降りた。尋常ならざる急峻な道を、カメラを下げた若い男性が登ってきた。少し降ると未だ葉を残したモミジ等もあったから、被写体には困らなかったろう。府道沿いの神社の巨大なイチョウは今が一番美しい。
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