今日は良く晴れて、道横の温度計は9度、そんな中でも、丹波黒豆の屋台は途切れる事なく、ほとんど数珠つなぎと言っていいほど盛況である。枝に付いたままで在るから、手間もそれ程掛かるまい。値段は、良くは分からないが、枝の分量を除けばそれ程多くも無さそうだ。
それでも車を停めて買い求める人は結構多い。求める側の畑には一面の豆があるから農家は当分直販に忙しかろう。そのせいばかりでも無いのだろうが、辺り一帯何やら熱気のようなものが感じられる。山の端から差し込み始めた温かな陽射しが平野に溢れ、どこやらで幟も見たようだが何処だったか。
静かな火打岩にはそうした賑やかさは感じられない。登山口横の家を覗いて見たが、ひっそりとして影もない。続く休耕田のあぜ道に、朝露に濡れた野菊があった。履いたように綺麗な登山道を見ると、過日の豪雨ではここら辺りでも相当の雨量があった事が判る。そう云えば谷川は綺麗で水に濁りは無かった。
物的被害は目にしなかったから、ご先祖様の云い伝えは今日でも守られているのだろうか。など考えつつ苦しい登りをやり過ごし、京都のユリ道に似る辺で額から零れる汗を拭いた。と、あろう事か、登山道で堂々とタバコの煙を吐く男性がおられる。然しよく見ると何か雰囲気が違う、ザックは何処にも無いし、登山をやりそうな浮世離れした様子が微塵も無い。
もしもし、何をおやりです?、はたして登山どころか、XXXX取りに来られたとか、してその収穫の程も見せて頂いたが、数は物足らないものの結構立派なXXXXであった。混乱を避ける為にもXXXXが良いだろうと思う。
この後を心配されたか、登山道には無い、とキッパリと釘を刺された、心配ご無用!。とは云いながら、登山道脇の斜面を注意深く伺うのは止められない。落葉や枯れ枝でやはり飲めそうに無い水飲み場を過ぎ、大岳寺跡地を徘徊して遺構を調査する間に、後続の方々の賑々しい声が近づく。
斜度が出るあたりは葉叢の乏しい灌木で頗る付きで暑い。やっと岩のテラスに着いて僅かな木陰で汗をふきつつ眺める下界の様子。篠山の街を覆う程に白い霧が棚引ていて、直ぐに消えるだろうと見ていると、わあ〜すごい!、と感動を遠慮なく吐露するアべックが顔を出した。
あいにく岩のテラスは狭くて、遠慮の無い仲ならいざ知らず、やはり二組は面白くあるまい。暫くグズグズして上に登って行かれた。譲ってやれば良かった?、等と些か自問自答の真っ最中、きゃあ〜綺麗〜!、何だ何処でも良かったんだ。
と、再び岩のテラスの一番先に佇む人、今日は篠山は祭りやで!,と云い、困ったもんや、草を燃やした煙が充満しとる!、と続けた。そうか、あれは煙であったか、納得。収穫の秋ですからね〜、あれも風物詩ですよね。上の賑やかな様子に気が付くと、上も良いで、小金ヶ岳がよ〜見える。
途端に登山道に戻られて、後を追ったが到底追いつけそうにないほどの早さ。恐れ入りました。ピーくを飛ばしてオオタワに下り、その勢いで小金ヶ岳をよじ登り、痛い程の暑さに岩場の陰で小一時間。行き交う人もまるで無く、ピークには食事中の男性一人だけ。
|