■ 台高・赤ゾレ山
・・・・2014年09月23日
2014.9.28

乾いて人の気配の無い木梶林道にママコナの小さい花が風に揺れ、水の少ない不動滝を見上げて秋を感じた。思いなしか、木々の葉にも夏場の生気が感じられなくなった。今年は8月が終るとほぼ同時に暑さが去り秋めいて来た。何かが起こらなければ良いのだが。

とは言っても、けして暑さが去った訳では無く、我々が猛暑に親しんだ結果であって、数字を見るだけなら、嘗ての夏基準を十分満たしている。がしかし、朝夕の冷え込みに付いては、林道に長々と伸びるシマヘビが語っている。

ヘビの日向ぼっこはあっても、今日の轍が無い訳では無い。どうやら1台か2台の車が入っていると見た。林道歩きの1時間は辛い、出来ようものなら乗入れてもみたいのだが、後で泣きを見るのはもっと嫌。てなわけでテクテク歩いて駐車地の前、予想の通り四駆が1台。

アケボノソウの咲く林道終点に軽乗用車が1台止まっていた。傷みの酷い道を良くぞここまで来られたものだ、相当な達人に違いない。踏み跡の濃くなった地蔵谷出合で小休止の一服。今日は出来るだけ早く登るべく赤ゾレ山北東尾根に取り付いた。急斜面にも拘らず、気温は低めで歩き易い。

斜度が緩むあたりから大小のミズナラがある。やや乾き過ぎの感はあるものの、菌類の気持ちが分かる訳でも無いし、何が引金になるのか分かったものでは無い。大きくて、やや勢いを失ったかの様な木があると、ワクワクしながら斜面を下るのだ。そっと覗き込んで見た根本に探し物は無い、と、見上げたその先に魅力的な木を見つけては、やはりドキドキしながら覗きに行く。この様な事を繰り返し、何時しか赤ゾレ山ピークの下まで来た。上からは二人組のおじさん達が、やっぱり隠れんぼの鬼を探すような仕草を見せる。

上と下とで出会い頭、お互いの持ち物などをマジマジと見合い、持ってるかな?、と探りをいれつつ挨拶した。彼らはプロの様であったから、あの軽に間違いない。しかし探し物が見つかった様にも見えなかった。まだまだ鬼ごっこは続くのである。

まだ続くのではあるが、草の波打つ明るい赤ゾレ山ピークに到着したのだ、サービスエリアで買ったサンドイッチを食べる時刻だ。木の影に腰を降ろしてランチタイム、池の辺りから賑やかな声が聞こえる。嘗て、ウメバチソウのあった山頂付近の草むらを見て廻ったが、アザミのほかめぼしい花を見つけ得ない。

池に降りると、賑やかだった二人組のパーティも歩き出したところであった。元気一杯の女性が、振り向きざま、ヤッホーっとやって笑っていた。元気だ。男性の方は、この池は何と云います?、と聞いてきた。その様子は、関西の人では無い様で、また北部台高は初めての様であった。

馬駈辻から再び森の中で鬼ごっこ、尾根を綺麗にさらったつもりであったが、やっぱり相手の方が少なくとも一枚は上らしい。探す相手は遂に今日も見つからず、虚しく降りた木原谷の谷水で、紅潮した頬を冷やしたのである。思えば今日のお山は潤いに乏しかった。一雨あればまたご機嫌も戻り、愛嬌の一つも見せてはくれよう。

戻る長〜〜い林道を、この日暮れ時お山に向かう女性が一人。ザックも背負っていたし、足取りも確りしてはいたが、こんな時刻に行く山は何処だろう?。


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